2010年02月18日-1
グループ法人税制の個人の範囲には要注意

 2010年度税制改正で導入される予定のグループ法人税制は、大企業だけが関連するものと考えがちだが、中小企業や個人企業にも影響があるので留意したい。グループ法人税制は、100%グループ内の法人には強制的に適用される制度であり、内国法人の100%子会社だけでなく、個人株主が支配する100%子会社にも適用される。そこで注意が必要なのは、個人株主の範囲がどこまで及ぶのかということである。

 個人株主の場合、親族である個人Aと個人Bがそれぞれ出資してC法人、D法人を設立するといったケースで、例えば個人AがC法人に70%、D法人に60%出資し、個人BがC法人に30%、D法人に40%出資したときは、個人A、Bが法人C、法人Dに合計100%の出資をしていることから、C法人とD法人が「100%グループ内法人」となり、グループ法人税制が適用される。

 また、支配関係の判定上の個人の範囲は、組織再編税制と同様に法人税法で規定する「同族関係者」と同様となるようだ。すなわち、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が含まれる。例えば、父とその子2人(兄と弟)がそれぞれ100%株式を保有している法人があるとすれば、これらの3法人それぞれが直接的な資本関係がない場合でも、法人税法上は一つのグループとしてグループ法人税制が適用されることになる。

 したがって、これらの法人間で資産の譲渡を行った場合は、グループ法人税制における譲渡取引の損益繰延べなどの対象となるわけだ。これまでは、資産の譲渡先が6親等内の血族などが支配する法人かどうかはあまり考えずに行ってきたと思われるが、グループ法人税制が適用される予定の今年10月1日以後に何らかの資産を譲渡した場合には、その譲渡先が税務上の同族関係者に該当するかどうかを確認する必要がある。

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