2010年02月08日-2
誤解が多い家事消費した棚卸資産の消費税の取扱い

 棚卸資産を家事消費した場合、所得税基本通達の取扱いによると、通常の販売価格の70%相当額(仕入価額以上)を記帳の上、同額を事業所得の計算上総収入金額に算入し、所得税の確定申告をしなければならない。ここで注意しなければいけないのは消費税の取扱いである。というのも、多くの人が、消費税においても、所得税と同様に、その70%相当額を課税売上としなければならないと誤解しているからだ。

 消費税法基本通達39-2《自家消費等における対価》においては、棚卸資産を家事消費した場合、通常の販売価額の50%相当額かつ仕入価額以上の金額を課税売上として消費税の確定申告をすることを認めている。そして、この取扱いは、家事消費として記帳した金額及び家事消費の事業所得の収入計上額になんら影響されることなく適用されるもの、と定められている。

 したがって、棚卸資産を自家消費した場合は、所得税において、通常の販売価額の70%相当額(仕入価額以上)を事業所得の計算上総収入金額に算入し、消費税において、通常の販売価額の50%相当額かつ仕入価額以上の金額を課税売上とし、それぞれ確定申告をすることができるわけだ。所得税は70%相当額だから、消費税も同様と一見考えがちだが、20%多く課税売上としているケースが多いとのこと。留意したい。

 なお、消費税法では、「個人事業者が棚卸資産や事業の用に供している資産を、家事のために消費し、使用した場合」には、“みなし譲渡”として、消費税が課されることになっている。本来は譲渡ではないから、税法上これを譲渡と「みなす」わけだ。

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