2010年02月01日-3
国税庁が委任される年金保険料の滞納処分の権限

 社会保険庁が廃止されたことに伴い、その年金業務を受け持つ後継組織である日本年金機構が今年1月4日から本格的に業務をスタートした。これに関連して、昨年12月28日付で財務省組織規則の一部を改正する省令が公布、1月1日から施行されている。これに伴い、国税庁は、悪質な年金等の保険料滞納者に対し強制徴収を行う権限を委任されることになり、その所掌事務体制が整えられている。

 日本年金機構は、公的年金業務の運営を行う民間法人として1月1日に設立され、厚生労働相から委任・委託を受けて一連の運営業務を行う。日本年金機構法の附則では、年金等の保険料滞納処分等の執行を免れる目的でその財産を隠蔽しているおそれがあること等の事情が認められる悪質な滞納者に対しては、厚生労働大臣から財務大臣を通じて国税庁長官に滞納処分の権限を委任することができることとされている。

 今回の財務省令では、国税庁の徴収課、各国税局の徴収部及び徴収課・特別整理総括課などの部内各課、各税務署の特別国税徴収官・統括国税徴収官の所掌事務に、「保険料等の徴収に関すること」が加えられた。今後、厚労相から悪質な年金滞納者への滞納処分を委任されれば、国税庁の徴収課や各国税局の特別整理部門が対応にあたることになるが、今のところ滞納処分の委任はされていないという。

 また、各国税局の国税訟務官は、保険料等の徴収に関する不服申立て、訴訟も扱うことになる。国税訟務官室の所掌事務に、「保険料等の徴収に関する不服申立てに関すること」、「保険料等の徴収に関する訴訟に関すること」の2項目が付け加えられたことから、厚労相から委任された滞納処分に関する不服申立てや訴訟も、国税局の国税訟務官が受け持つことになるわけだ。

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