2010年02月01日-2
外国子会社合算税制の適用除外基準を見直し

 外国子会社合算税制いわゆるタックス・ヘイブン対策税制は、日本企業が税負担の著しく低い軽課税国にある実体のない子会社を利用して、租税回避を行うことを防止する制度だが、実体のある事業を行っている場合など、一定の条件(適用除外基準)を満たす場合には、課税の対象とならない。2010年度税制改正では、この適用除外基準が経済実態に即して見直される。

 まず、納税義務者要件である内国法人等の海外子会社に対する直接・間接の株式等の保有割合が、事務負担等の軽減を目的に、10%以上に引き上げられる。また、日本企業は、アジアや欧州などの地域ごとの海外拠点を統括する統括会社(地域の「ミニ本社」)を活用した実体のあるビジネスをしているにもかかわらず、関連会社間の取引や配当収入が多いことから、課税対象となるケースがあるので、適用除外基準を見直す。

 具体的には、事業持株会社の場合、「株式の保有」が主たる事業とされ、事業基準を充足しないので、「統括会社」が保有する「被統括会社」の株式は、事業基準の判定上「株式」に該当しないものとする。また、物流統括会社の場合、仕入も売上も関連者との取引が50%以上であることが多く、非関連者基準を充足しないので、「統括会社」が「被統括会社」と行う取引は、卸売業の非関連者基準の判定上、「関連者取引」に該当しないものとする。

 このように適用除外基準を緩和することによって、実体のある事業持株会社や物流統括会社が外国会社合算税制の対象外となり、日本企業によるさらなる海外市場の開拓、その果実の活用に弾みがつくことが期待されている。これらの見直しに伴い、適用除外基準の事業基準・実体基準・管理支配基準を満たす場合は、人件費の10%相当額を合算所得から控除する人件費控除措置を撤廃する。

 一方で、適用除外基準を満たす子会社は課税されないため、株式や債券の保有等から得られる資産性所得を子会社に付け替える租税回避に対応できないことから、(1)配当・株式譲渡益(持株割合10%未満に限る)、(2)債券の利子・譲渡益、(3)ロイヤリティ(わが国で開発された権利が海外子会社に付け替えられたものとして一定の場合のみ)、などの資産性所得は合算対象に含める。株式・債券譲渡益は取引所・店頭で売却した場合のみ。

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