2010年01月28日-2
国際課税、トリガー税率を20%以下に引下げ

 外国子会社合算税制いわゆるタックス・ヘイブン対策税制は、日本企業が税負担の著しく低い軽課税国にある実体のない子会社を利用して、租税回避を行うことを防止する制度である。外国子会社の法人税負担率が「25%以下」の場合、その所得に相当する金額(持分相当額)を日本の親会社の所得とみなし、日本で課税する。2010年度税制改正では、いわゆるトリガー税率が現行の25%から20%以下に引き下げられる。

 トリガー税率とは、外国子会社合算課税の適用対象となるか否かを判定するための基準税率のこと。トリガー税率が現行の25%に設定された1992年当時のわが国の法人税の実効税率は約50%程度で、諸外国とはそれほど違いはなかった。しかし、その後、各国は法人税率の引下げを行い、現行のままではタックス・ヘイブン国以外の国々への進出企業まで、外国合算子会社税制の対象となる可能性が出てきた。

 特に2008年以降、中国(25.0%)、マレーシア(25.0%)、ベトナム(25.0%)、韓国(22%:10年)のアジア主要4ヵ国が軒並み法人税率を引き下げている。これら4ヵ国に進出している子会社数は、外国子会社約1万7千社のうち3割強を占める(2007年海外事業活動基本調査)。これに伴い、企業がタックス・ヘイブン対策税制に割く事務負担は急上昇し、特に、中国子会社は、申告作業の実に99%が最終的な合算課税に結びついていない。

 2010年度税制改正において、トリガー税率が25%から20%以下に引き下げられれば、外国子会社の3割強が申告不要となり、企業の税務負担が大幅に軽減されるとみられている。

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