2010年01月21日-2
中小企業向けの優遇税制はおおむね延長

2010年度税制改正に向けては、租税特別措置の見直しが大きな焦点の一つとなっていたが、政府税制調査会は、各省から要望があったものや適用期限を迎える国税81項目、地方税90項目の租税特別措置について見直した結果、廃止・縮小は国税41項目、地方税57項目の計98項目となった。ただし、中小企業向けの優遇税制は、中小企業を取り囲む環境が依然厳しいことから、おおむね延長されることになった。

主なところでは、中小企業者等が一定の設備投資やIT投資等を行った場合に、取得価額の7%の税額控除または30%の特別償却を選択適用できる中小企業投資促進税制や、実務的には青色申告書を提出している中小企業者等がもっとも活用している少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(取得価額30万円未満であれば年間300万円を上限として、全額即時費用できる)が、ともに2012年3月31日まで2年間延長される。

 また、中小企業者(資本金1億円超の大規模法人の子会社等を除く)が、情報設備への投資(年間投資額の合計が70万円以上)を行った場合に、取得価額に対して特別償却(30%)または税額控除(7%)のいずれかを適用できる中小企業等基盤強化税制は拡充される。今回廃止となる従来の情報基盤強化税制の対象設備を支援対象に加えて仮想化ソフトウェア等を追加する。適用期限は2011年3月31日まで。

 さらに、試験研究を行った場合の優遇措置である中小企業技術基盤強化税制は、中小企業者が、試験研究を行った場合、試験研究費の12%を税額控除できる恒久措置だが、今回、上乗せ部分について、(A)試験研究費の増加額の5%、または(B)「売上高の10%」を上回る研究費を、その事業年度の法人税額から控除する、「増加型(A)」、「高水準型(B)」が、それぞれ2012年3月31日まで延長される。

 ほかでは、昨年6月に定額控除限度額が600万円まで引き上げられた中小企業の交際費の損金算入の特例(年間600万円までは90%が費用となる)についても、現行制度のまま2012年3月31日まで2年延長される。

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