2010年01月21日-1
国税OB税理士への顧問先あっ旋は10年度から廃止

 国税庁はこのほど、退職した税務職員(国税OB税理士)に対する顧問先のあっ旋状況を公表した。それによると、昨年7月に退職した国税局長2名、国税不服審判所長4名、国税局部長12名、税務署長229名など全国の指定官職358名に対し、1人あたり平均7.5社の顧問先企業をあっ旋したことがわかった。その平均月額報酬等の金額は44.9万円で、単純平均すると1社から約6万円の月額顧問料をもらっていることになる。

 全国の国税局(所)であっ旋を受けた者は、前年に比べ44名少ない。平均あっ旋企業数も同0.4社減で、この5年間でもっとも少ない件数となり、平均月額報酬等の額は同4.2万円減で、5年前(2004年73.4万円)の6割程度にまで減少した。このように、年々あっ旋企業数は減少傾向にあるが、一般の税理士からみれば恵まれた状況にあることは変わりない。しかし、この退職税務職員へのあっ旋制度は2010年度からなくなる模様だ。

 国税当局はこれまで、税務署長などの指定官職に対し、組織活性化を目的に早期退職勧奨。定年2年前の58歳で退官してもらう代わりに生活保障という名目で顧問先として民間企業をあっ旋してきた。確かに、長年の国税勤務で培われた国税OBの税務に対する知識・処理能力が民間企業に役立つ面は否定できないが、あっ旋の実態は、すでに顧問税理士がいる企業があっ旋される、いわゆる“二階立て”“三階立て”と称されるものが多い。

 こうしたあっ旋の状況について、一般の納税者からみれば、なかなか理解できず、やはり国税OBの税理士は税務調査などで有利なのか、と誤解される一因ともなってきた。加えて、新政権の民主党は、「天下り、渡りのあっ旋を全面的に禁止する」方針を打ち出していることもあり、あっ旋を廃止することが決まった。今年7月に退職予定の税務職員からあっ旋は行われず、代わりに退職期間が1年延びる模様だ。

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