2010年01月18日-2
小規模企業共済・中小企業倒産防止共済制度の拡充

 2010年度税制改正における中小企業者を対象とした減税では、小規模企業共済制度と中小企業倒産防止共済制度の拡充がある。1965年に創設された小規模企業共済制度は、経営基盤が脆弱で、経営環境の変化を受けやすい小規模企業者の廃業・引退時の生活資金や事業再建資金の確保を図る制度。現行制度で加入資格があるのは、常時使用する従業員の数が20人以下(商業、サービス業は5人以下)の個人事業主または会社の役員だ。

 小規模企業を取り巻く経済環境は極めて厳しく、倒産件数も高い水準で推移。420万の中小企業のうち小規模企業は366万で、小規模企業の中核である個人事業主は257万人を占め、個人事業の経営者の将来不安を払拭することが緊急課題となっている。今回の改正では、家族一体で事業が行われることの多い個人事業主の実態を踏まえ、個人事業主だけでなく、その配偶者や後継者を始めとする共同経営者まで加入対象者を拡大する。

 一方、1978年に創設された中小企業倒産防止共済制度は、共済契約者が拠出する掛金を原資に、取引先が倒産した際、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内で回収困難な売掛債権等の額以内の貸付を受けることができる制度。貸付を受ける都度、掛金総額から貸付額の10分の1が費用として控除される。掛金は、貸付を受ける権利を得るための実質的な対価であることから、掛金拠出時に損金算入する課税特例が認められている。

 近年、倒産の件数・負債総額は増加しており、中小企業の連鎖倒産リスクは増大している。こうしたなか、取引先の倒産によって回収困難となる売掛金債権額は高額化し、共済金の貸付限度額である3200万円では回収困難額が満たされなかった共済契約者の割合が増加している。そこで今回、回収困難額の高額化等を踏まえ、貸付限度額を8000万円に引き上げ、これに伴い、損金算入できる掛金の限度額を800万円に引き上げる。

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