2010年01月14日-1
親会社と100%子会社のグループ法人税制の創設

 これまで、所得通算を前提とする連結納税制度があったが、2010年度税制改正において、所得通算を前提としないグループ法人(親会社と100%子会社)税制が創設される。わが国企業は、分社化や完全子会社化による企業グループの形成など、企業グループの一体的な経営を展開しているが、こうした実態を踏まえ、中立的な税制を整備することが必要との考えから、グループ内取引等に関する税制が整備される。

 具体的には、まず、グループ内法人からの配当を行う場合、負債利子控除は不要とし、全額益金不算入となる。現行は、子会社が親会社に配当する際、親会社の支払利子の関連会社株式相当部分が益金不算入の対象外となり、課税されることから、親会社による株主への配当や設備投資の原資が減少するなどの問題があった。そこで、グループ内の受取配当については全額益金不算入とする。

 次に、グループ内の資産の移転に伴う譲渡損益は、繰延べとなる。現行では、子会社間で工場の土地・建物を譲渡した場合に土地の含み益が譲渡益として課税されるが、グループ内の移転による課税の中立性・適正性の確保が必要との観点から、連結納税と同様、グループ内の資産の譲渡取引において生ずる損益については課税を繰り延べる。対象資産は、1000万円以上の固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産などだ。

 そのほか、グループ法人間で寄付を行う場合、支出側を全額損金不算入とするとともに、受領側も全額益金不算入とする。こうした優遇措置を講ずる一方で、中小特例(法人税の軽減税率、交際費の損金算入の特例など)の適用については、自らの資本金に加えて、親会社の資本金等の規模も基準に判定される。すなわち、親会社の資本金が5億円以上(会社法上の「大会社」)の場合、その100%子会社については、中小特例は適用しない。

 これらのグループ法人税制の整備に係る税制改正は、2010年10月1日から適用する。ただし、事業年度単位で適用する、100%子会社に対する中小特例の適用判定の見直しや、受取配当の益金不算入制度の見直しなどについては、2010年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされている。

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