2010年01月04日-2
一人オーナー会社課税適用は2010年度から廃止

 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度(いわゆる一人オーナー会社課税)は、2010年度税制改正において廃止される。同制度は、特殊支配同族会社の業務主宰役員は自ら給与を決めることで税負担の調整を図ることが可能であり、そうした役員給与が法人段階で損金算入され、個人段階でも給与所得控除の対象となる「二重控除」問題への対処として2006年度税制改正で創設されたものだ。

 しかし、創設当初から日本税理士会連合会が「役員給与は既に会社から資金流失しているにもかかわらず、更に会社に課税され、また、節税の目的で設立された会社以外の会社や既存の会社もこの規定の適用を受けることになり制度的に問題」とする意見を表明するなど制度を疑問視する声も出され、2007 年度改正では適用除外となる基準所得金額が1600 万円に引き上げられたが、その後も廃止を望む声は高かった。

 そして、民主党がマニフェストに制度の廃止を掲げたことから、当初はすんなり廃止されると思われたが、政府税調での議論が進むにつれて「廃止」から「検討事項」となりかけた。しかし、昨年12月17日の与党三党幹事長連名による鳩山総理大臣あて「2010年度国家予算与党三党重点要望」での政府与党の調整課題として、「オーナー課税の廃止」が明記され、一気に形勢が再逆転して税制改正大綱に廃止が盛り込まれた。

 ただし、大綱では、制度を廃止した上で、「給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、『二重控除』の問題を解消するための抜本的措置を2011 年度税制改正で講じること」とされており、とりあえず2010 年4月1日以後終了事業年度から同制度は適用されないものの、何らかの課税措置は採られることになるとみられている。

ウィンドウを閉じる