2010年01月04日-1
「所得控除から手当へ」、所得課税の諸控除の見直し

 4年ぶりの増税となる2010年度税制改正だが、その中心は個人所得課税における諸控除の見直しだ。新政権における個人所得課税改革の方向性は、所得再分配機能を回復し、「所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ転換を進める」ことにある。現行の所得税控除制度は、同額の所得を収入から控除した場合、適用される限界税率が低所得者よりも高い高所得者のほうが実質的な軽減額が大きくなる。

 新政権は、子どもの養育を社会全体で支援するとの観点から、中学卒業まで月2万6000円(2010年度は半額)を支給する子ども手当の創設と高校授業料の無償化を実施する。これらの財源を所得控除の廃止・縮小で増える所得税収で賄う考えだ。まず、0歳から15歳までの年少扶養親族に係る扶養控除(所得税38万円、個人住民税33万円)を、所得税は2011年1月から、住民税は2012年6月から廃止する。

 次に、16歳から22歳までの特定扶養親族に係る扶養控除(所得税63万円、個人住民税45万円)については、今年4月から実施予定の高校授業料の実質無償化に伴い、高校生に相当する16歳から18歳に対する控除の上乗せ部分(所得税25万円、個人住民税12万円)を廃止し、所得税は38万円、個人住民税は33万円に減額する。この見直しも上記と同様、所得税は2011年1月から、住民税は2012年6月からの適用となる。

 今後の検討課題としては、23歳から69歳までの成年を控除対象とする扶養控除や配偶者控除の見直しがある。また、所得再分配機能の回復等の観点からの、高所得者により有利な制度となっている給与所得控除の見直しや、税率構造などの所得税改革にも取り組む方針だ。さらに、税額控除を基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付する「給付付き税額控除」の導入も検討課題とされている。

ウィンドウを閉じる