2009年08月27日-2
監査人異動の3社に1社が三大法人から中小・個人に

 日本版SOX法が2009年3月決算から適用されるなど、ここ数年監査の厳格化が図られるようになって監査報酬が上がる一方で、監査意見を表明されないことなどから会計監査人の変更を図る企業も増えている。帝国データバンクが実施した「上場企業の会計監査人異動動向調査」結果によると、今年に入って7月末までに監査人異動を発表した上場企業は199社にのぼり、前年同期(194社)に比べて5社(2.6%)増加した。

 このうち、三大監査法人(トーマツ、新日本、あずさ)から中小監査法人や個人公認会計士に異動したのは71社(前年同期78社)、全体の35.7%、約3社に1社となった。また、異動した理由は、「任期満了」が122社で全体の61.3%を占めて最多、次いで、業務停止命令を受けたウィングパートナーズのケースのような「監査人側の理由」が21社(10.6%)、「親(子)会社の監査人に変更」が16社(8.0%)となった。

 一方、内部統制(2005年12月に公表されたいわゆる日本版SOX法)が始まったことで監査報酬が高額になったことから「監査報酬で合意せず」が6社(3.0%)、財務の悪化などから「見解の相違」(9社、4.5%)、「結論等の不表明」(4社、2.0%)などで監査人を異動した理由も目を引いた。もっとも「任期満了」を理由にしたものの、後任の監査人が未定だったり、一時監査人だったりするケースもあった。

 大会社や監査役会設置会社は監査人を変更するには株主総会の決議がいるが、何らかの理由で期中での変更となるために一時監査人を選任した企業は35社と、前年同期(15社)に比べて2.3倍となった。その後、8社が7月末までに正式に選任しており、7月現在も一時監査人の企業は27社。また、監査人の退任を公表したものの、交代する監査人を見つけられなかった企業は9社、うち7月現在で監査人が未定の企業も4社あった。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p090804.pdf

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