2006年11月01日-001
配当所得の倍増で源泉所得税額が2年連続増加

 国税庁がまとめた源泉所得税の課税事績によると、今年6月までの1年間(2005事務年度)における源泉所得税の税額は15兆7470億円で、前年度に比べ12.4%(1兆7366億円)増加し、2年連続の増加となったことが分かった。これは、順調な景気回復の影響により、配当所得が前年度に比べ93.7%(1兆2077億円)増と大幅に伸びて、2兆4966億円とほぼ倍増したことが要因となっている。

 また、源泉所得税全体のほぼ7割近くを占める給与所得が前年度に比べ5.6%(5574億円)増加し10兆5407億円となったほか、「特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等」も同138.6%(1480億円)増の2548億円、「報酬料金等所得」も同15.3%(1781億円)増の1兆3406億円と伸びた。利子所得は44.1%(3845億円)減の4880億円。なお、今年6月末現在の給与所得の源泉徴収義務者数は前年度に比べ0.2%減の386万件だった。

 一方、源泉所得税の調査は、原則として法人税・消費税や所得税・消費税との同時調査として行われるが、2005年度中に源泉所得税に関して行った調査・指導件数は前年度比14.4%増の19万4千件だった。うち5万3千件(前年度比13.4%増)から何らかの非違を見つけ、加算税を含め580億円(同12.3%減)の税額を追徴した。追徴税額(本税のみ)の64%は認定賞与や現物給与といった「給与所得」(281億円)が占める。

 調査事例では、宗教法人である寺院に対し実地調査を実施したところ、葬儀などの際に受領した布施収入について、まったく計上しない、あるいは金額を圧縮して計上するなどして、源泉所得税を免れていた事案が報告されている。この除外資金は約6000万円にのぼり、住職の家族名義の預金として個人的に蓄財するほか、遊興費に充てられていたことから、住職に対する簿外給与と認定し、約3000万円が追徴課税された。

ウィンドウを閉じる