2012年06月25日-1
改正貸金業法の成果を確認~日弁連会長声明

 日本弁護士連合会は18日、改正貸金業法の完全施行後2年目を迎えての会長声明を出した。それによると、出資法の上限金利の引下げ及び収入の3分の1以上の貸付の禁止(総量規制)等の完全施行から2年が経過。5社以上の借入れを有する多重債務者が230万人から44万人に激減し、自己破産者は17万人から10万人に、多重債務による自殺者は1973人から998人に半減するなど、同改正は大きな成果を上げている、と評価している。

 日弁連では、2010年に「改正貸金業法の完全施行に関する会長声明」を公表し、その後「債務整理事件処理の紀律を定める規定」(2011年4月1日施行)を制定して弁護士による債務整理の適正化を図りつつ、全国的な相談会の実施や全国各地の弁護士会での無料相談体制を拡充し、地方自治体等の相談機関との連携を強化するなど、ヤミ金融被害の救済等に向けて総力を挙げた活動を行ってきた。

 他方、与野党の議員の間では、正規の業者から借りられない人がヤミ金から借入れをせざるを得ず、潜在的なヤミ金被害が広がっている、零細な中小企業の短期融資の需要があるとして、金利規制や総量規制の見直しの議論が起こっている。しかし、ヤミ金については、相談件数も警察の検挙数も減っており、被害規模も小型化するなど、ヤミ金被害が広がっている根拠はない、としている。

 日本の基幹ともいうべき中小企業がリーマンショックによって深刻な影響を受けているが、国は緊急保証、セーフティネット貸付及び中小企業等に対する金融円滑化対策を実施し、地域金融機関等による支援策を行っている。貸金業者による個人零細事業者への総量規制の例外貸付も一定の実績を有している現状下で必要な対策は、「短期の高利の資金」提供ではなく、総合的な経営支援策であることを強調している。

 会長声明(全文)は↓
 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120618.html

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