2012年06月18日-2
私傷病保障制度のある企業は98.6%~産労総研

 民間のシンクタンク機関である産労総合研究所では、私傷病による長期療養と雇用・就労との両立について、2004年以来7年ぶりに「私傷病保障制度と復職支援等に関する調査」を実施した。調査は郵送によるアンケート方式で行い、同所会員企業2000社を対象に実施。締切日までに140社から回答があった。140社の内訳は製造業63社、非製造業77社。従業員1000人以上34社、300~999人47社、299人以下59社。

 調査結果によると、「私傷病による休業に対する身分保障制度」(身分保障制度)のある企業は98.6%だった。従業員規模別にみると、1000人以上規模企業(大企業)及び300~999人以上規模企業(中堅企業)では100%の企業が制度を有しており、299人以下(中小企業)でも96.6%の企業が制度を有している。身分保障期間中の休業方法としては、一定の病欠欠勤期間満了後に病気休職に移行する企業9割を超える。

 勤続年数別に「身分保障期間」をみると、一般疾病については、「勤続1年」が14.5ヵ月、「10年」が22.9ヵ月、「20年」が24.5ヵ月。これらは、前回2004年調査と比較してもほとんど変わりがない。休業期間経過ごとの所得補償率を、勤続10年のモデルで、給付(保障)主体(会社、健保、共済会)合計でみると、休業3ヵ月までは休業前給与の約8割(1ヵ月目80.5%、3ヵ月目79.7%)で、3年目まで7割台で推移している。

 一定程度、症状が回復した段階で、主治医から、職場復帰に向けて通勤訓練やリハビリ勤務・ならし勤務が指示される場合がある。職場復帰訓練制度の有無にかかわらず、主治医または産業医の指示で何らかの職場復帰のための支援を実施している企業は71.7%と7割を超えている。具体的な支援措置(訓練内容)をみると(訓練あり企業=100)、「勤務時間の調整」(79.8%)、「作業内容の変更」(56.6%)が多い。

 復職時の職務についてみると、「原則として休業前の職務(現職復帰)」とする企業が72.8%、次いで「復職時の回復状況をみて決定」が21.3%、「復職時の職場状況によりそのつど決定」が16.2%だった。また、賃金は、「休職直前(次回の昇給時期まで凍結)」とする企業が33.6%とほぼ3分の1あり、次いで「復職時に通常勤務者と同様に昇給・ベアを実施」が24.6%、「復職後の勤務形態に応じて決定」が13.4%だった。

 同調査結果は↓
 http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1206/download/pr_1206.pdf

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