2012年06月14日-3
GC注記、重要事象の記載はピーク時の6割に減少

 2012年3月期本決算の全上場企業2504社のうち、監査法人から「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイングコンサーン注記、以下GC注記)が付いた企業は41社だったことが、東京商工リサーチがこのほど発表した「2012年3月期決算上場企業『継続企業の前提に関する注記』調査」結果で明らかになった。前年度本決算の注記企業50社から9社、前中間期42社から1社、それぞれ減少している。

 福島第一原発の廃炉費用や原発全停止によるコスト負担増で2期連続の大幅赤字となった東京電力は前年度本決算以来、継続してGC注記が付いている。また、GC注記に至らないが、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在する場合に明記する「継続企業に関する重要事象」の記載があったのは45社で、前年度本決算の57社より12社、前中間期53社から8社、それぞれ減少した。

 GC注記企業数は2008年9月中間期決算では123社だったが、2009年3月期から記載ルールが変更され、GCと重要事象の2段階での開示となった。ルール変更に伴いGC注記企業は大幅に減少したものの、重要事象の記載企業と合算すると2009年3月期は145社にのぼった。以降はGC注記、重要事象ともに減少推移をたどり、2012年本決算では86社と、ピーク時2009年3月期の約6割に減少している。

 GC注記が付いた41社のうち、8割近くの32社が「重要・継続的な売上減」、「損失計上」、「営業キャッシュ・フローのマイナス」など本業面での業績不振を理由としている。次いで「債務超過に転落」が9社、「資金繰り悪化や資金調達難(可能性ありも含む)」6社、「金融機関や取引先などに債務の返済条件変更やその可能性がある」、もしくは、すでに「支払延滞が発生している」企業が6社と続く。

 本業不振による売上減で赤字体質から脱却できない上場企業にGC注記が継続的に付くケースが目立つ。また、債務超過に転落した企業は前年度決算の5社から9社へと増加した。債務超過は上場廃止基準の一つで、原則1年以内に解消しなければ上場廃止となる。GC注記の企業数は全体としては減少傾向だが、経営改善を達成しGC注記が解消する企業と、より深刻な経営状況に陥る企業との二極化が鮮明となっている。

 同調査結果は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2012/1219878_2004.html

ウィンドウを閉じる