2012年06月11日-1
老舗企業(創業100年以上)の長寿の秘訣を探る

 財務省近畿財務局が、大正元年(1912年)以前に創業した関西老舗企業52社を対象に実施した「長寿の秘訣」についてのヒアリング結果によると、経営継続の要因は、「本業重視の経営、品質の維持」が35.9%で最多、次いで「堅実経営(身の丈経営)」(29.3%)、「顧客ニーズに合わせた既存商品等の改良」(16.3%)が続いた。なお、大正元年に創業した企業は、本年に創業100周年を迎える。

 また企業理念、事業内容は、約8割の企業が創業時から「変えていない」と回答する一方、生産技術、販売方法、販売エリアについては、ほとんどの企業が、時代の変化に応じて「変えた」と回答している。つまり、長寿の秘訣は、「本業重視の経営、品質の維持」や「堅実経営(身の丈経営)」などの「伝統」と、「顧客ニーズに合わせた既存商品等の改良」といった「革新」のバランスということがいえる。

 経営者の声をみると、「本業重視の経営、品質の維持」では、「『本業』であれば、どんな難しい仕事でも手を出し、『本業以外』は、どんなに儲かる仕事でも手を出さなかった」(1892年創業・造園工事業)や「昔ながらの材料、製法で味を守ってきた」(1864年創業・製造業(昆布))など。また、「堅実経営」では、「『背伸びをするような経営はするな』、『手形の商売はするな』を代々引き継いでいる」(1912年創業・卸売業(旗))などがある。

 さらに、「企業理念の継承」では、「創業時から『先義後利』という家訓を遵守」(1689年創業・製造業(麩))。「顧客ニーズに合わせた既存商品等の改良」では、「目の前の一人のお客様が本当に満足できる製品作りに集中した結果、新商品開発に成功し、卸専門業者からメーカーに転換」(1804年創業・製造業(綱))や「ネットを使った販売にも注力し、販売エリアは全国に広がった」(1800年創業・製造業(玩具))などの経営者の声がある。

 後継者については、現経営者は「創業家」が82%、「創業家以外」が18%だが、今後の継承予定は、「創業家」が51%、「創業家以外」が29%、「未定」が20%だった。経営者からは、「最近は、優秀な人材も採用できており、必ずしも創業家にこだわる必要はなくなってきた」(1716年創業・製造業(繊維製品))、「社長自ら管理者研修を実施、この研修生のなかから後継者を指名する」(1912年創業・製造業(袋))などの声がある。

 同ヒアリング結果の概要は↓
 http://kinki.mof.go.jp/file/soumu/120605c-honbun.pdf

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