2012年05月31日-1
2011年度個別労働紛争相談、過去最多の約25.6万件

 個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。厚生労働省が5月29日に発表した2011年度における同制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争に係る相談件数は、前年度比3.8%増の約25.6万件で、過去最多を記録した。2001年10月の制度発足以降、件数はおおむね右肩上がりで増加してきている。

 全国約300ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、2011年度1年間で前年度比1.8%減の110万9454件。このうち、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどの民事上の個別労働紛争に関するものは3.8%増の25万6343件と過去最多だった2009年度(24万7302件)を上回った。内容別では、「解雇」が18.9%、「いじめ・嫌がらせ」が15.1%、「労働条件の引下げ」が12.1%で続いている。

 個別労働紛争相談の内容を前年度と比べると、これまで高水準だった「解雇」に関する件数は前年度比3.9%減と減少し、「いじめ・嫌がらせ」が同16.6%増えたほか、「退職勧奨」(同3.6%増)、「自己都合退職」(同28.1%増)などが増加。相談者は、労働者が80.6%と大半を占め、事業主からの相談は11.8%だった。労働者の就労形態は、「正社員」が41.5%、「パート・アルバイト」17.2%、「期間契約社員」10.5%、「派遣労働者」4.3%など。

 一方、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、2011年度のあっせん申請受理件数は前年度比1.9%増の6510件だった。処理状況をみると、手続きを終了した6362件のうち、「合意が成立」したものが38.3%、申請者の都合による「申請取下げ」が5.7%、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が55.8%だった。

 処理期間は、「1ヵ月以内」が54.4%、「1ヵ月超2ヵ月以内」が40.1%とおおむね迅速に処理されている。申請者は、労働者が98.1%と大半を占め、事業主からの申請は1.8%、労使双方からの申請は0.2%。労働者のうち50.4%は正社員だが、パート・アルバイトや期間契約社員等も36.9%を占める。事業所の規模は、「10~49人」が29.8%、「10人未満」が19.3%、「300人以上」が15.1%で、労働組合のない事業所の労働者が73.7%だった。

 2011年度個別労働紛争解決制度施行状況の詳細は↓
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002bko3-att/2r9852000002bkpt.pdf

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