2012年05月24日-4
持ち直してきている中小企業の景況~日本公庫

 日本政策金融公庫総合研究所が3月に実施した「全国中小企業動向調査」結果(有効回答数6025社)によると、今期(1~3月期)の全産業の業況判断DI(「好転」-「悪化」企業割合、前年同期比、季節調整値)は、前期(10~12月期)から7.7ポイント上昇し▲3.3となった。上昇は3期連続。業種別にみると、製造業は同6.5ポイント上昇し▲4.0に、非製造業は同7.7ポイント上昇し▲3.6となった。

 先行きについてみると、全産業で来期(4~6月期)は▲1.0、さらに来々期(7~9月期)には1.0と、DIは引き続き上昇する見通しとなっており、東日本大震災で悪化した中小企業の景況は、持ち直してきていることが分かる。今季の業況判断DIを地域別にみると、全ての地域で上昇した。震災からの復興が進む「東北」では前期比11.3ポイント上昇の13.6と、プラス水準が続いている。

 今期の売上DI(「増加」-「減少」企業割合、前年同期比、季節調整値)は、前期から7.0ポイント上昇し4.0と、4期ぶりにプラス水準となった。業種別にみると、製造業は同3.3ポイント上昇し2.6に、非製造業も8.5ポイント上昇し4.1となった。また、今期の仕入価格DI(「上昇」-「低下」企業割合、前年同期比、原数値)は同1.9ポイント低下し28.8となった。来期は、原料価格の高騰を背景に再び上昇に転じる見通しだ。

 今期の経営上の問題点をみると、「売上、受注の停滞・減少」の割合は前期から2.9ポイント低下し、47.1%となった。他方、「原材料高」の割合は4期ぶりに上昇し、12.6%となった。中小企業の景況は内需関連業種を中心に持ち直してきている。ただし、原材料価格の高騰や夏場に予想される電力需給のひっ迫、円高の再燃など懸念材料も少なくない。今後も改善傾向が続くかどうかは注意深く見ていく必要がある。

 同調査結果は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_no46_1205.pdf

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