2012年05月21日-2
ホテル・旅館から納入業者に「チケット購入」要請

 公正取引委員会は、大規模小売業者等による優越的地位の濫用行為に関して積極的かつ厳正な法執行を進めているが、このほどホテル・旅館と納入業者との取引に関する実態調査を実施した。2010年1月から2011年12月まで、6866社に調査票を発送、36.1%の2479社から回答があった。このうち、ホテル・旅館に商品・サービスを納入・提供している調査対象納入業者は1625社あった。また、納入業者29社へのヒアリングも行われた。

 調査対象納入業者の52.5%が資本金1000万円以下、39.6%が従業員10人以下だった。優越ガイドラインにおいて優越的地位の濫用となる行為類型として例示されている各行為のうち、優越的地位の濫用につながり得る行為が行われていた取引割合上位3位までの行為(「購入・利用強制」、「協賛金等の負担の要請」及び「取引の対価の一方的決定」)の状況をみると、次のとおりとなった。

 調査対象取引(5975取引)のうち、「業務上必要としない・購入を希望しない商品・サービスの購入・利用要請を受けたことがある」との回答が42.4%。そのうち、「購入・利用したことがある」との回答が81.1%あった。商品の内容は、「ディナーショー、歌謡ショー等のチケット」(60.3%)、「ホテル等の施設で有償で催される納入業者会の懇親会への参加」(38.1%)、「クリスマスケーキなどの季節商品」(24.4%)など。

 また、調査対象取引のうち、「協賛金等の負担要請を受けたことがある」との回答は6.5%あり、このうち「利益につながらない協賛金等の負担を要請されたことがある」との回答が39.7%で、調査対象取引の2.6%にあたる。その取引においては、ホテル・旅館の取引上の地位が優越しているなど取引の実態いかんによってはホテル・旅館から優越的地位の濫用につながり得る行為を受けていたと考えられる。

 さらに、調査対象取引のうち、「仕入価格やコストを下回るような価格の引下げ要請を受けたことがある」と回答のあった4.7%については,ホテル・旅館の取引上の地位が優越しているなど取引の実態いかんによっては、調査対象納入業者は,ホテル・旅館から優越的地位の濫用につながり得る行為を受けていたと考えられる。その取引のうち、「要請に従ったことがある」との回答が83.2%あった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/12.may/120516hontai.pdf

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