2012年05月14日-4
貸切バス事業者の9割弱が年商5億円未満

 ゴールデンウィーク中に発生した高速ツアーバス事故を受け、国土交通省は5月2日、全国でツアーバスを運行する貸切バス事業者約200社に対する重点監査の実施を決めた。そこで帝国データバンクは、同社保有の企業概要データベースから、「一般貸切旅客自動車運送業(貸切バス事業)」を主業とする1282社を対象に、年商規模、1社当たり年収入高推移、増収・減収状況、損益状況について初の調査・分析を行った。

 その「貸切バス事業者の経営実態調査」結果によると、全国の貸切バス事業者1282社のうち、2011年1~12月期の年収高が判明した969社を年商規模別にみると、「5億円未満」が852社(87.9%)で最も多く、これら小規模業者が全体の9割弱を占めていることが分かった。他方、「10~50億円未満」は49社(5.1%)、「50億円超」もわずか3社(0.3%)となっており、中規模業者は全体の5%程度にとどまっている。

 2011年の1社当たり年収高は2億8130万円で、規制緩和前の99年(3億6120万円)に比べて22.1%減と大きく落ち込み、2008年(2億8070万円)に次いで規制緩和後2番目の低水準。過去の推移をみると、2000年2月の改正道路運送法施行後は一貫して減少基調で推移。2003年(2億9620万円)に3億円を下回って以降はほぼ横ばいが続いていたが、リーマン・ショックの影響もあった2008年の最低水準以降も低収入が続いている。

 2011年1~12月期の収入高増減をみると、「増収」41.4%(264社)に対し、「減収」は58.6%(374社)となり、全体の約6割が減収基調にある。規制緩和前の99年1~12月期の収入高増減をみると、「増収」42.6%(223社)に対し、「減収」は57.4%(300社)となっており、2011年の状況とほぼ変化はなく、規制緩和後も貸切バス事業者を取り巻く経営環境は一向に改善していないことがうかがえる。

 また、2011年1~12月期の損益状況をみると、「黒字」が判明した企業は206社(16.1%)と、全体の2割以下にとどまっていることが分かった。規制緩和前の99年1~12月期の損益状況をみると、「黒字」判明企業は254社(19.8%)となっており、2011年の黒字判明企業割合はさらに低下し、収入高増減の状況とともに、厳しい業界環境にあることが垣間見える結果となった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p120501.pdf

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