2012年05月10日-4
12年度業績見通し、企業の3割が「増収増益」見込

 帝国データバンクが4月に実施した「2012年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万380社)によると、2012年度の業績見通し(売上及び経常利益ベース)は、「増収増益(見込み含む)」と回答した企業が30.3%で前年度(29.9%)と同程度、一方、「減収減益(見込み含む)」は19.4%で同5.3ポイント減少した。震災から1年が経過し、厳しい経営環境が続くなかでも企業業績は徐々に改善しつつある。

 「増収増益」企業を業界別にみると、「金融」が35.7%で最多だったほか、「小売」(35.1%)や「サービス」(34.6%)、「卸売」(31.2%)、「不動産」(30.8%)が3割を超えた。地域別では、「南関東」(34.7%)、「東北」(30.1%)、「東海」(30.0%)が3割以上で、最高の「南関東」と最低の「四国」(22.6%)で12.1ポイントの差があった。他方、「減収減益」は、「不動産」(26.9%)、「農・林・水産」(25.6%)、「建設」(25.2%)などで高かった。

 2012年度業績見通しの下振れ材料(複数回答)を尋ねたところ、「個人消費の一段の低迷」が41.4%で最多となったほか、「原油・素材価格の動向」(41.3%)も4割を超えた。次いで「所得の減少」(29.4%)、「物価下落(デフレ)の進行」(26.1%)、「為替の動向」(25.5%)などが続いた。また、4社に1社が「外需の悪化」(25.6%)を挙げており、欧州債務危機など米欧中経済の先行きに対する懸念が前年度より強まっている。

 一方、上振れ材料(複数回答)では、「個人消費の回復」が39.6%で最多、次いで「東日本大震災に伴う需要の増加」(24.0%)だが、前年度から17.6ポイント減少した。また、「欧米金融危機の早期払拭」(14.4%)や「為替動向」(20.6%)は、それぞれ前年度から8.0ポイント、5.0ポイント増加しており、欧州における債務危機への対応や2011年夏から続いていた超円高の修正などを企業が好材料と考えている様子がうかがえる。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1204.pdf

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