2012年04月23日-2
見直し後の緊急対応策に基づき訓練した企業43%

 経済同友会は、昨年7月「今回の大災害を契機としてリスク管理手法、特にクライシス・マネジメント手法やマニュアルを再検討し、最新の科学的知見、歴史的事実、統計解析手法の進展などを取り入れ新しい事業継続計画を策定、それに基づく訓練を行うべき」との提言を行った。この提言は多くの企業経営者の参考に供したが、大震災一周年を機に危機対応の現状、震災前からの改善状況、今後の見直し方針等に関しアンケート調査を行った。

 調査結果(有効回答数134社)によると、「緊急対策本部を30 分以内に設置」できた企業は、震災時には37%だったが、現在は61%に、また、「全従業員の安否確認を同日中に完了できる」企業も31%から47%に増えた。今後、同等の緊急事態が発生した場合、99%の企業が「十分対応できる、あるいは必要最低限の対応はできる」と回答した。しかし、「見直した緊急対応策に基づいて訓練を実施した」企業は43%にとどまっている。

 事業継続への備えが不十分だった理由としては、42%の企業が「生じうるリスク・シナリオの検討の甘さ」を挙げた企業が最も多かった。今回の災害を教訓として、「事業継続計画(BCP)の整備、役員・従業員の危機対応能力向上のための教育訓練を実施」した企業が多かった。今後の災害・危機に際して、「事業継続に十分備えている、あるいは必要最低限の備えはある」と回答した企業が87%に達した。

 43%の企業が「日頃から地域コミュニティとの良好な関係を維持しており、今回の災害での緊急対応に活かせた」と回答。「地域コミュニティとの連携が不十分だった」企業は53%だったが、35%は「今回の災害を契機として必要性を感じた」と回答。一方、「自治体との防災協定を締結していた」企業は33%で、「今回の災害での緊急対応に活かせた」と回答した企業は、そのうちの半数にとどまった。

 今回の災害を契機として、約4割の企業が「改善に向けた取り組みを始めた」と回答した。些細な事件・事故を見逃さない取り組み、自社に不都合なものも含めた情報開示については、7割を超える企業が「今回の災害前から既に取り組んでいる」と回答した。「危機管理に十分なコストをかけなかった」企業は55%だった。最大の理由は、「短期的利益極大化主義・株主利益極大化主義」で31%だった。

 同調査結果は↓
 http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2012/pdf/120419a.pdf

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