2012年04月23日-1
電気料金値上げで親事業者に下請取引の適正化要請

 中小企業庁は、今回の電気料金の値上げ及び原材料価格の上昇等に伴う負担の増加について、下請中小企業に一方的にしわ寄せすることなく適正な転嫁が可能となるよう、下請代金支払遅延等防止法(下請法)を遵守することについて全国の親事業者約2万2000社に対し、文書(「電気料金の上昇及び原材料価格の上昇等に関する下請取引の適正化について」)による要請を20日付けで行った。

 要請では、「我が国の景気は、足下では緩やかに持ち直しているところだが、東京電力株式会社は、4月1日以降、契約更改を迎える自らの顧客に対して、電気料金の引上げを求めているところ、供給区域内に所在する下請中小企業からは、電気料金の引上げは経営に大きな影響を及ぼす等の声が寄せられている。また、原材料価格も上昇の傾向にあり、そのことが下請中小企業の経営環境を一層厳しいものとさせている」と指摘している。

 さらに、価格交渉力の弱い下請中小企業においては、電気料金の上昇に伴う負担の増加を取引先に転嫁することができないとの懸念も寄せられており、同庁では公正取引委員会と連携し、下請法の厳格な執行に努めているが、以下のように電気料金の上昇及び原材料価格の上昇等に伴う負担の増加を、下請中小企業に一方的にしわ寄せするということは、下請法違反行為となる可能性がある、と注意を促している。

 電気料金の上昇及び原材料価格の上昇等に関連した下請法の違反となる行為を例示。電気料金の上昇または原材料価格の上昇等に伴う負担の増加を、自社の取引先に転嫁することができなかったことを理由に、下請事業者に支払うべき下請代金から、電気料金の上昇相当分や原材料価格の上昇等による負担の増加分の全部または一部を差し引いて支払うことは違法(下請法第4条第1項第3号:下請代金の減額)であるとしている。

 また、下請事業者の製造する製品に係るコストが電気料金の上昇や原材料価格の上昇等の影響から増加しているにもかかわらず、単価引上げの協議に応じず、単価を据え置くなど、コストの増加分を反映しない単価を一方的に決定することも違法(下請法第4条第1項第5号:買いたたき)としている。 同庁では、下請中小企業に一方的にしわ寄せすることなく、取引価格に適正に転嫁ができるよう、下請法の遵守を求めている。

 同要請文は↓
 http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2012/download/0420denki-1.pdf

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