2012年04月16日-4
金融円滑化法利用後倒産、累計300件に達する

 2011年度の「中小企業金融円滑化法」利用後倒産は247件判明し、前年度の53件に比べて約4.7倍となり、2009年12月の法律施行からの累計が300件に達したことが、帝国データバンクこのほど発表した「中小企業金融円滑化法利用後倒産の動向調査」結果によって明らかになった。2011年10月から6ヵ月連続して20件を上回っており、2011年後半から高水準が続いている。

 累計300件の内訳をみると、業種別では、「製造業」の89件(構成比29.7%)が最も多く、全体の約3割を占める。次いで「建設業」が75件(同25.0%)、「卸売業」が59件(同19.7%)、「小売業」が35件(同11.7%)などで続いた。また、倒産主因別では、「販売不振」が248件(同82.7%)を数え、全体の8割を超えた。次いで「業界不振」が10件(同3.3%)、「設備投資の失敗」が8件(同2.7%)と続く。

 負債規模別では、「5億円未満」が204件(構成比68.0%)と、全体の3社に2社は中小規模の倒産。次いで「10~50億円未満」が48件(同16.0%)、「5~10億円未満」が44件(同14.7%)となっている。倒産態様別では、「破産」が266件(同88.7%)と9割近くを占め、次いで「民事再生法」が32件(同10.7%)、「特別清算」が2件となっており、「会社更生法」はゼロ件だった。

 帝国データバンクのまとめによると、2011年度の企業倒産は前年度比0.5%減とわずかながら下回り、3年連続の前年度比減少となった。これに対し、中小企業金融円滑化法を利用しながら後に倒産した企業は、前年度に比べて約4.7倍の大幅増加となった。借入金の返済猶予期間中に業績回復できず行き詰まる企業が相次ぐなか、「金融円滑化法利用後倒産」の急増ぶりが際立つ結果となっている。

 金融庁は、金融円滑化法の期限到来に伴う企業倒産の発生を最小限にとどめる“ソフトランディング”を目指している。しかし、円高、原料高、震災の影響など、中小企業を取り巻く環境は依然として好転していない。帝国データバンクは、景気の自律的な回復には程遠い状況にあり、経営体力の乏しい中小零細企業を中心に、「金融円滑化法利用後倒産」は今後もさらなる増加が見込まれる、と予測している。

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