2012年04月12日-3
「中小会計要領」に続々インセンティブ

 中小企業庁は、「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)の普及・活用を金融庁、中小企業団体と足並みを揃えつつ、積極的に進めていく方針だ。「中小会計要領」は、260万といわれる上場会社、金商法開示会社、会社法上の大会社を除いた会社を対象としていることから、そのハードルを低くし、15項目・41ルールを規定、その活用を通じ「財務経営力の強化」、「資金調達力の強化・取引拡大の可能性」を目指す。

 総論では、継続性の原則として、会計処理の方法は、毎期継続して同じ方法を適用する必要があり、これを変更するに当たっては、合理的な理由を必要とし、変更した旨、その理由及び影響の内容を注記する。記帳の重要性として、経営者の経営状況を適切に把握するために記帳が重要である。記帳は全ての取引につき、正規の簿記の原則に従って行い、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿を作成しなければならない。

 国際会計基準(IFRS)との関係として、「中小会計要領」は、安定的に継続利用可能なものとする観点から、IFRSの影響を受けないものとした。この点が、IFRSへのコンバージェンスの影響を受け、ほぼ毎年改訂されている「中小企業の会計に関する指針」(中小指針)との決定的な違いといえる。中企庁では、同要領の普及を加速させるインセンティブを検討中だ。

 例えば、日本政策金融公庫による融資制度について、(1)中小会計要領に従った計算書類の作成及び期中における資金計画管理等の会計活用を目指す中小企業に対し、優遇金利(基準金利▲0.4%)での貸付制度を創設(中小事業)、(2)「中小会計要領」を適用している小規模企業に対し、利率を▲0.2%優遇(国民生活事業)する。その他、信用保証協会とも現在、保証料率割引の検討を進めており、近く実現する見通しだ。

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