2012年04月12日-2
メンタルヘルスケアへの取組み促進必要

 自殺者が14年間連続で3万人を超え、このうち約8200人が労働者であり、「勤務問題」を自殺の原因の一つとしている人は2700人に達しているなど、労働者の心の健康(メンタルヘルス)に関する社会的な関心が高まり、様々な取組みが広がりつつある。厚生労働省では、労働政策審議会において、ストレス症状を有する労働者に対する面接指導制度の導入等が提言され、法改正も含めた検討が行われている。

 労働政策研究・研修機構が農・漁業を除く従業員10人以上の民間事業所を対象に実施した「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」結果(有効回答数5250件)によると、過去1年間にメンタルヘルスで1ヵ月以上の休職・退職した労働者がいた事業所で、メンタルヘルスに「取り組んでいる」事業所は64.0%と過半を占める一方、休職・退職者がいるにもかかわらず、「取り組んでいない」事業所が3分の1と少なくないのが目立つ。

 メンタルヘルスの問題と生産性の低下や重大事故など、企業のマイナスのパフォーマンスとの関係をどう考えるかについて、「関係がある」(42.1%)、「密接に関係がある」(22.8%)、「どちらかと言えば関係がある」(21.3%)を合わせて約9割(86.2%)の事業所が、関係ありと認識しており、「どちらともいえない」は9.6%、「無関係」と考えているのは3.4%と少数だった。

 今後のメンタルヘルスケアの位置づけについては、強化するべきだと考えている事業所が7割強にのぼる。また、メンタルヘルスケアの取組みの有無別にみると、取り組んでいない事業所でも、積極派(「強化する必要がある」9.1%、「どちらかと言えば強化する必要がある」43.3%)が過半数を超えており、今後の取組みの広がりが予測できる結果となっている。

 大手企業などで、メンタルヘルスケアの取組みが進んできていることは、調査結果からも明かだが、中小企業を中心に、まだ、ケアに取り組んでいないところも少なくない。特に、メンタルヘルスを原因として1ヵ月以上の休職、もしくは退職してしまった労働者がいる事業所であっても、3割を超える事業所がケアに取り組んでいない実態は、今後、さらに強力に企業のメンタルヘルスケアを促進させる施策の必要性を再認識させた。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0100_01.pdf

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