2012年04月09日-4
12年度正社員採用「予定なし」が4年ぶり4割割る

 帝国データバンクが3月下旬に実施した「2012年度の雇用動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万711社)によると、2012年度の正社員(新卒・中途入社)の採用状況は、「増加する(見込み含む)」が21.9%で、前年調査から2.4ポイント増加し、3年連続改善した。業界別では、「サービス業」(25.5%)や「小売」(23.9%)などの内需関連業界、震災からの復興需要が現出している「建設」(23.1%)の正社員採用意欲が高い。

 一方、「採用予定なし」と回答した企業は36.9%となり、4年ぶりに4割を下回った。依然として厳しい状況は続いているものの、企業の採用意欲は徐々に改善しつつあることがうかがえる。業界別では、10業界中、前年と横ばいの「農・林・水産」を除く9業界で減少しているが、「不動産」(49.1%)は6年連続で「採用予定なし」の割合が最も高く、正社員採用の厳しさが際立っている。

 2012年度の非正社員(派遣社員、パート・アルバイトなど)の採用状況は、「増加する(見込み含む)」と回答した企業は9.2%(前年調査8.8%)となった。一方、「採用予定はない」は47.9%(同50.8%)と4年ぶりに5割を下回ったものの、非正社員の採用状況は依然として厳しい。非正社員の「採用予定なし」は、ピークの2009年度(58.6%)と比べ10ポイント以上低下しているが、半数近くの企業が採用を見送る状況が続いている。

 2012年度の正社員比率は、2011年度と比べて「上昇する(見込み含む)」と回答した企業が14.9%で、「低下する(同)」(9.9%)を2年連続で上回った。正社員比率が「上昇する(同)」と回答した企業のその大きな要因(複数回答)は、「業容拡大への対応」が55.7%で最多、次いで「団塊世代の大量退職による補充、技術継承などを目的とした正社員雇用の増加」(24.0%)、「新規事業への参入」(18.2%)などが続いた。

 自社の属する地域・業界の雇用環境が改善する時期の見込みについては、「長期的に改善する見込みはない」が29.9%で最多、次いで「2013年度」(16.4%)、「2014年度」(10.5%)が続いた。2013年度以降と考えている企業を合わせると34.8%となっているほか、2013年度より前の「2011年度」や「2012年度」は、それぞれ0.5%、5.1%にとどまっており、2012年度までに雇用環境の改善が訪れることは困難と考えている企業が多い。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1203.pdf

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