2012年04月09日-2
空室率のピークは東京2011年、大阪2013年

 オフィス市場動向研究会(日本不動産研究所と三鬼商事との共同研究会)は、「東京・大阪のオフィス賃料予測(2012~2020年)」を公表した。大・中型ビルのデータを基にマクロ計量モデルを作成し、日本経済研究センターの中期経済予測のマクロ経済データを使って2020年までの賃料及び空室率を予測した。「空室率のピークは、東京ビジネス地区のオフィスが2011年、大阪ビジネス地区のオフィスは2013年」としている。

 東京ビジネス地区の予測結果は、短期予測(2012~2013年)で2011年は、東日本大震災や欧米経済の低迷等でマクロ経済指標が悪化し、賃料が約6%下落して、賃料指数も過去最低の86まで低下し、空室率も過去最高の9.0%となった。2012年は、復興需要等で経済は回復するが、新規供給が50万坪と過去平均(30万坪/年)の1.7倍と多いため、賃料は2%弱下落して、過去最低を更新して85まで低下する。

 大阪ビジネス地区の予測結果は、短期予測(2012~2013年)で2009年、2010年と2年連続で13万坪を超える新規供給があり、空室率が2010年に過去最高の11.9%まで上昇した。2011年も新規供給が約9万坪と多く、賃料指数は過去最低の85まで低下した。2012年は、新規供給が6万坪と過去平均程度(6万坪/年)であり、2013年のグランフロント大阪等の新規供給を控えて、賃料は下落幅が縮小し、空室率は高い水準ながら若干改善する。

 東京の長期予測(2016~2020年)は、2016年以降は空室率が5%台まで低下するが、経済成長率の予測が年率1%強と低いことから、賃料も年率2%前後の上昇にとどまる。一方、大阪の長期予測(2016~2020年)は、2016 年以降は空室率が改善し2020年には6.4%まで低下するが、低下のスピードは緩やか。賃料も年率3%強の上昇が続くが、2020年でも賃料指数が94とそれほど大きい上昇にはならず、厳しい状況が続くと考えられる。

 同賃料予測の全文は↓
 http://www.reinet.or.jp/pdf/report/tinryoyosoku120328.pdf

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