2012年03月28日-2
4月から適用が厳しくなる「中小企業会計割引制度」

 信用保証協会が行う「中小企業会計割引制度」について、4月1日から、その一部が見直され、適用が厳しくなってスタートする。同割引制度は、「中小企業の会計に関する指針」(中小指針)に準拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士、税理士法人及び公認会計士により中小指針の準拠を確認するチェックリストが提出された場合において、信用保証協会の保証料率0.1%の割引が認められる制度。

 同制度は、中小企業の会計の質の向上を通じた中小企業金融の円滑化を目的に、税理士等が中小企業の計算書類が中小指針に準拠していることを確認することで、信用保証協会の審査コストが低減することが期待できることから実施された。割引制度の適用は、2006年4月の制度創設時ではチェックリストの添付によって認められ、翌2007年4月の制度見直し後では、チェックリスト15項目中1項目以上の準拠で認められることとされていた。

 制度開始から6年を迎え、次の見直しが行われる。(1)信用保証協会は、チェックリストの全15項目全てに準拠していることをもって会計割引制度を適用するが、当該中小企業が保有しない資産の項目については除外、(2)チェックリストの全15項目について中小指針に準拠している旨の記載があるにもかかわらず、故意・過失を問わず事実と異なる記載が認められると信用保証協会が判断する場合は、会計割引制度の利用を認めない。

 また、故意・過失を問わず事実と異なる記載と保証協会が認めるチェックリストが、複数回にわたり同一の税理士等から提出された場合に、その税理士等から提出されるチェックリストの添付をもって、計算書類の信頼性向上に寄与することが認められないと保証協会が判断するときは、その税理士等が確認したチェックリストについては、会計割引制度の利用を1年間認めないこととされる。税理士等により厳しい対応を迫ることになる。

 この見直しは、2012年4月1日から行う予定だったが、同年3月11日に発生した東日本大震災発生直後の混乱を踏まえ、一年間後ろ倒して行うもの。なお、本年2月に策定された中小会計要領の取扱いについては、中小指針に従った計算書類を作成した中小企業に対する会計割引制度の経験を踏まえつつ、中小会計要領の創設段階における普及・促進への協力として、会計割引制度の見直しについて検討を行うことになっている。

ウィンドウを閉じる