2012年03月22日-4
東北6県企業の8割強が復興スピード「遅い」と認識

 東日本大震災の発生から1年が経過したが、帝国データバンクが東北6県の企業を対象に実施した「震災復興に対する企業の意識調査」では、8割強の企業が復興スピードが「遅い」と認識していることが分かった。調査結果(有効回答数616社)によると、被災地域の復旧・復興のスピードについては、「かなり遅い」が61.2%、「やや遅い」が21.9%と、計83.1%の企業が「遅い」と感じている。一方、「速い」はわずか3.6%のみ。

 これまで復旧・復興の進捗に貢献してきたもの(複数回答)については、45.3%が「被災地以外の人々(非営利団体含む)」と回答し最多、次いで「被災地域の民間企業」(42.9%)、「被災地域の人々(同)」(42.0%)、「被災地域以外の民間企業」(40.1%)と続き、「被災地域の地方自治体」は24.5%、「中央政府」に至っては5.7%に過ぎない。一方、復旧・復興の進捗の制約となってきたものでは、「中央政府」が93.7%と9割を超えた。

 今後、自社への復興需要が「ある(見込み含む)」と見込む企業は45.5%と半分近くになり、全国10地域中トップ。県別では、「岩手」が57.1%、「宮城」が56.5%、「福島」が53.0%と被災3県が5割を超え、他の3県、「青森」(28.6%)、「秋田」(33.8%)、「山形」(35.0%)との格差が鮮明に出た。業界別では、復旧・復興関連工事の急増により、「建設」(70.8%)が「運輸・倉庫」(52.6%)以下を大きく引き離し7割を占めている。

 自社での復興需要が「ある」と回答した企業のその時期(複数回答)は、「2012年度後半」と考える企業が66.4%で最多、次いで「2012年前半」(55.0%)、「2013年度」(49.0%)と続いた。同企業の復興需要による自社の業績改善への期待が「ある」と回答した企業は89.6%と、復興需要を見込む企業のうち約9割が、多少なりとも業績改善へ期待している。県別では、「宮城」が94.9%、「福島」が90.0%となり、9割以上は2県となった。

 今後の復興への課題(複数回答)については、82.0%の企業が「原発事故対策」を挙げ、8割を超す高水準となった。次いで「被災地域の経済復興政策」(74.7%)、「風評被害対策の強化」(71.9%)、「災害廃棄物の処理」(68.5%)と続いた。特に「災害廃棄物処理」が昨年10月の前回調査から21.4ポイントの増加したほか、「風評被害対策」が12.9ポイント、「原発事故対策」が11.8ポイント増加している。

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