2012年03月22日-3
企業の中期経営計画を投資判断に重視~生保協調査

 生命保険協会は、株主・投資家の立場から、株式発行企業による株式価値向上に向けた取組みについて、1974年度から株主への利益還元、コーポレート・ガバナンス等に関する継続的な調査を行っている。今年度は、上場企業1114 社、機関投資家152 社を対象に実施したアンケートをもとに現状の分析を行った。調査内容は、企業の経営目標、株主への利益還元、コーポレート・ガバナンスなど。

 まず、経営目標について、投資家の意識では、91.1%の投資家が、企業の中期経営計画を投資判断材料として「最も重視している」あるいは「一定程度重視している」。また 92.4%の投資家が、企業は中期経営計画を「公表すべき」あるいは「公表が望ましい」と回答。公表のメリットとして、83.6%の投資家が「経営ビジョンが把握できる」ことを挙げており、続いて「対話の活性化につながる」(56.2%)としている。

 一方、企業の意識としては、72.1%の企業が中期経営計画を公表しており、そのメリットとして、91.0%の企業が「株主・投資家との対話の活性化につながる」ことを挙げている。また、中期経営計画を公表している企業のうち、93.9%が数値目標を公表している。逆に、中期経営計画を公表しない企業の理由は、「今後の事業環境の見通しや会社戦略の確度が低い等の理由で、計画を作成できない」(37.1%)が最も多かった。

 目標とする経営指標については、82.3%の投資家が、中期経営計画での公表を望む経営指標として「ROE」(株主資本利益率・ROE=当期純利益/株主資本×100)を挙げる。投資家が特に重視しているROEについて、日本企業のROE水準が資本コストを「上回っている」との回答は8.9%、「上回っていない」との回答は70.9%となった。ROEの向上に向けて企業が重視すべきことは、「売上高純利益率の向上」が75.9%と最も多い。

 経営指標についての企業の意識は、企業が中期経営計画で公表している経営指標は、「利益額・利益の伸び率」(61.9%)や「売上高・売上高の伸び率」(59.5%)、「売上高利益率」(48.0%)が多く、「ROE」(32.8%)は第4位。自社のROEの水準が資本コストを上回っているかとの問いについて、「上回っている」との回答は21.9%、「上回っていない」との回答は26.9%だった。

 同調査結果は↓
 http://www.seiho.or.jp/data/news/h23/pdf/20120316_1.pdf

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