2012年03月22日-2
弁護士試験合格者数を1500人程度に圧縮を提言

 日本弁護士連合会は15日、「法曹人口政策に関する提言」を公表した。司法制度改革推進計画(2002年3月19日閣議決定)のうち「2010年頃には司法試験の合格者数を年間3000人程度とすることを目指す」との指針はもはや現実的ではなく、司法試験合格者数を1500人にまで減員し、更なる減員について法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況を検証しつつ対処すべきとした。

 弁護士のアイデンティティは高度の専門性と公益的性格にある。弁護士には市民から信頼されるに相応しい学識、応用能力と弁護士職の公益的性格の自覚が求められる。そのようなプロフェッション性から導かれる「質」の確保のためには、必要な水準に達しない者にまで資格を付与することがないように、司法試験の合格者数を、法曹養成制度の成熟度に見合うものにする必要があるとしている。

 法曹養成制度の成熟度、現実の法的需要、司法基盤の整備状況、また裁判官・検察官の増員の程度と比べても弁護士人口増員のペースが急激過ぎる。そのため法曹養成過程における「法曹の質」の維持への懸念、新人弁護士の「就職難」等によるOJT不足から実務経験・能力が不足した弁護士が社会に多数増えていくことへの懸念、法曹志望者の減少などの深刻な問題を引き起こしている。

 市民のための司法を実現するためには、これらの問題を解決する必要がある。そのためには、いまや法曹人口の急増から「状況に応じた漸増」へと、速やかに移行すべきとする。司法試験合格者数をまず1500人にまで減員し、更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべきであるとしている。

 司法試験合格者の減員は法曹人口の減少を直ちに意味せず、急増か漸増かという増員ペースの問題で、司法試験の年間合格者数を1500人にまで減員しても、2027年頃には法曹人口は5万人規模に達し、2053年頃には6万3000人程度で均衡する。年間合格者数を1000人にしても、2043年頃には法曹人口は約4万9000人に達し、2053年頃には4万2000人程度で均衡するとしている。

 同提言(全文)は↓
 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120315.pdf

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