2012年03月15日-1
組織力向上に成果が出た企業、16.4%にとどまる

 日本能率協会が国内主要企業の経営者を対象に実施した「企業の組織力・活性化に関する実態調査」では、企業の72.8%が組織力向上対策に取り組むものの成果が出ず、具体的な成果が出ている企業は16.4%にとどまったことが分かった。その背景に、働き方の多様化、先例を重んじる風土の中でチャレンジや対立を避け、創造性が発揮できない職場が増える一方、企業の側で対応策のノウハウがないという実態が浮かび上がった。

 調査結果(有効回答数323社)によると、組織力向上対策に取り組んでいる企業の回答のみの集計では、その8割は成果がでていない結果になり、「組織力」が経営課題として経営者に認識されていることが明確になった。この理由として、「潜在的な課題の診断や適切な対応策に関する十分なノウハウがない」(44.9%)ことがハードルとなっており、今後はより具体的な経営成果につながる組織力向上対策の工夫が必要となる、としている。

 組織力の向上を制約する要因(複数回答)では、「高年齢者再雇用など雇用形態、処遇方法の異なるベテラン社員の増加」(30.7%)、「勤務時間や勤務場所の多様化に伴うFace to Faceのコミュニケーション不足」(26.9%) が上位を占めた。また、3位には「過去の成功体験・失敗体験や先例を重んじる風土」(26.3%)が挙げられた。雇用形態、処遇方法、勤務形態など、働き方の多様化に対応しきれていない職場の実情がうかがえる。

 過去3年間の売上や利益が「増加している」と回答した企業を分析すると、「社員一人当りの生産性指標」と「技術・ノウハウ蓄積と製品・サービスの収益性」が共通して高い傾向にあった。その「社員一人当りの生産性指標」と「技術・ノウハウ蓄積と製品・サービスの収益性」が高い企業と低い企業との違いを分析した結果、組織力に関して次の9点が明らかに異なった。

 (1)組織に一体感が醸成されている、(2)自主的・自律的に努力している、(3)目標への高いコミットメントがある、(4)相互に信頼し、援助しあえている、(5)部門間で連携が円滑でスピーディに行われている、(6)言いたいことを言い合える風土がある、(7)葛藤や対立を、積極的に前向きの姿勢で取り上げる風土がある、(8)能力や適性が活かされ、チームとして相乗効果がある、(9)多様性が活かされ、創造性を発揮できる。

 同調査結果は↓
 http://www.jma.or.jp/news_cms/upload/release/release20120229_f00169.pdf

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