2012年03月14日-1
幹部育成制度、回答企業の49%が導入・導入予定

 産労総合研究所が発行する定期刊行誌「企業と人材」は、「選抜型の経営幹部育成に関する実態」調査を実施した。本調査でいう選抜型の経営幹部育成とは、社員を能力・資質・試験成績などの評価により比較的若い年齢で選抜し、将来の経営幹部(取締役・執行役員・事業部長など)の候補者として特別に育成する制度を指す。調査対象は、同誌調査から任意抽出した3200社で、106社から回答があった。

 調査結果によると、幹部育成制度を「導入している」企業は37.7%、「導入を予定・検討中」の11.3%を合せても49%と約半数にとどまる。導入していない理由(複数回答)は、「選抜が難しい」40.7%、「育成のための適切なプログラムがない」35.2%、「他の人事制度との連携が難しい」31.5%と続く。一方、「効果について疑問がある」、「導入の必要がない」はそれぞれ11.1%、7.4%とわずかで、制度の有効性を否定する企業は少ない。

 選抜方法(複数回答)をみると、「人事部の推薦」が46.5%で最多、次いで「上司の推薦」44.2%、「通常の人事・業績評価の結果」37.2%、「経営トップの指名」32.6%と続く。実際にはいくつかを組み合わせて選抜を行うのであろうが、過去に一定の評価を得ている社員の中から選ばれていることが、「人事部の推薦」や「上司の推薦」、「通常の人事・業績評価の結果」の割合が高いことに表れている。

 今回の調査では、教育研修プログラムと教育研修後の実務経験を通じた育成施策に分けて調べた。まず、教育研修プログラム、つまりどこで学んでいるかについては、「社内の経営塾・スクール・特別講座(コース)での教育」が70.5%と最も多く、次いで「社外の教育研修機関のコース等の受講」47.7%と続く。「国内の大学院・ビジネススクールへの留学」や「海外の大学院・ビジネススクールへの留学」は少数だった。

 次世代の経営者育成費用は、人件費を除き1人当たり年間「100万円以上120万円未満」が25.0%で最も多く、次いで「10万円以上30万未満」19.4%、「30万円以上50万円未満」16.7%と続く。50万円未満で約4割、150万円以上の企業も約2割あり、ばらつきが大きい。平均は82.2万円。同誌が行った「教育研修費用の実態調査」では、2010年度の1人当たり研修費用の平均は3万6797円で、この額と比較すると約22倍にもなる。

 同調査結果は↓
 http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1203/

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