2012年03月12日-3
11年倒産企業の財務データ分析、5割が赤字

 2011年に倒産した企業は、約4割が自己資本比率がマイナスで、半数が赤字企業、また、有利子負債構成率が平均62.2%と高く、過剰債務の企業が多いことが、東京商工リサーチがこのほど発表した「2011年倒産企業の財務データ分析調査」で明らかになった。同調査は、2011年の倒産企業のうち3期連続の財務データが入手できた716社を抽出し、生存企業(16万2633社)データと比較、分析したもの。

 調査結果によると、2011年に倒産した716社の赤字企業率は、前期比4.8ポイント上昇の51.8%と5割が赤字だった。生存企業の赤字比率の推移は、前々期30.7%、前期31.5%、最新期(2011年12期まで)29.0%と30%前後で推移し経営の持ち直しがみられた。これに対し、倒産企業の赤字企業率は同じく30.7%、47.0%、51.8%と年々上昇を続け、業績悪化に歯止めがかからない経営を浮き彫りにした。

 また、716社の自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)をみると、平均マイナス3.2%だった。生存企業の自己資本比率が38.1%だったのと比べ、倒産企業の財務内容の脆弱さが浮き彫りとなった。自己資本比率が低いほど借入金等への依存度が高く、自己資本比率のマイナスは債務超過に陥った状態を示す。なお、716社のうち、最新決算期で自己資本比率がマイナスだったのは278社と約4割を占めた。

 716社の有利子負債構成率(総資産に占める有利子負債の割合)は平均62.2%で、生存企業の有利子負債構成率の平均31.7%と比べて借入金などの過剰債務を物語る。生存企業の有利子負債構成率は、前々期32.4%、前期31.9%、最新期31.7%とほぼ平準化しているのに対し、倒産企業では同じく54.3%、58.3%、62.2%と右肩上がりで推移し、総資産に占める有利子負債の過大さが経営の重荷となっていたことを裏付けた。

 以上のように、2011年に倒産した716社をみると、倒産企業の多くが過剰債務であること、また、多くの倒産企業は、経営体力が弱く、一旦業績不振に陥ると経営悪化に拍車がかかり、自力での再生を図ることが難しいことを浮き彫りにした。東京商工リサーチは、「中小企業金融円滑化法などの金融支援で資金環境が緩和されている今のうちに、いかに経営を立て直すことができるかが再生の岐路になっている」とコメントしている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2012/1217387_2004.html

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