2012年03月08日-1
自家発電設備保有は43%~経団連加盟企業

 東日本大震災では、多くの企業が被災し、日頃の災害対策が実践の場で試された。今後の防災・減災対策の充実を図るためには、この経験を教訓として十分に活かしていくことが重要であるとして、経団連は昨秋、全会員企業を対象にしたアンケート調査を実施した。総じて、企業は災害対策本部の迅速な設置や円滑な避難の実行など、平時の備えを有効に機能させていたが、充分に機能しなかった面もあった。

 調査結果(有効回答数403社)によると、災害対策本部は46%が発災後1時間以内に設置を完了。また、被害状況によらず、設置した企業の6割以上で災害対策本部が有効に機能した。安否確認システム、衛星電話を導入済みの企業はそれぞれ回答企業の56%、24%にとどまり、多くの企業が固定電話、携帯メールに安否確認を依存している。通信が輻輳するなか、発災翌日までに全社員の安否確認が完了したのは回答企業の58%にとどまった。

 訓練実施企業では、「避難訓練」(83%)、「安否確認テスト」(66%)の実施率が高いが、「帰宅シミュレーション」の実施は9%にとどまっている。また、「甚大な被害を受けた」社の67%が「機能した」と回答している。備蓄(飲料水、食料、毛布、簡易トイレ、医薬品など)の量は、3日としている企業が最多で回答数の44%を占めている。ただし、被災した企業では、備蓄が不足したとの回答が多数を占めた。

 施設の耐震化・免震化、設備の固定など事前の備えが有効に機能した。被災施設においても、回答企業の半数以上が耐震化の効果を確認している。一方、津波対策など水防対策が十分でないことが浮き彫りになった。被災施設において、「自家発電設備を保有していた」企業は回答企業の43%と5割にとどかない。電力供給可能期間は3日以内が72%を占めている。

 帰宅困難者対策では、災害発生時の社員の帰宅・待機方針を策定済の企業は42%で、未策定企業(48%)を下回っている。方針策定済企業のうち、41%が「待機を指示」し、53%が「帰宅を指示」した。事業継続:BCP(Business Continuity Plan)を策定済の企業は回答企業の半数であり、適用範囲は大半(86%)で企業単体にとどまっている。甚大な被害を受けた企業では7割、被害が軽微な企業でも5割がBCPを発動した。

 同調査結果は↓
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2012/013_besshi1.pdf

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