2012年03月05日-2
海外ビジネスは中国などアジアを中心に展開

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が海外ビジネス関係企業(中小企業が8割強)を対象に昨年11月~12月にかけて実施した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」結果(有効回答数2769社)によると、輸出に従事している企業は全体の68.8%、海外に拠点を持つ企業は51.5%を占めた。輸出先は、「中国」(63.8%)が最も多く、次いで「タイ」(49.2%)、「台湾」(47.6%)、「韓国」(47.6%)、「米国」(44.7%)、「香港」(40.3%)と続く。

 海外拠点の所在地も「中国」(70.5%)が最多で、2位の「米国」(33.0%)以下を大きく引き離している。中小企業の海外拠点保有割合は44.9%と大企業(83.3%)に比べて少ないが、大企業と同じく約7割が輸出に従事している。輸出先、海外拠点所在地はともにアジアが中心となっている。中国への拠点保有割合は大企業が72.6%と高いが、中小企業も28.7%と他国を大きく上回り、中国に販売拠点や生産拠点を設立している。

 輸出の今後(3年程度)については、「拡大を図る」が全体の50.3%を占め、「現在行っていないが、今後行いたい」(9.7%)と合わせ60%の企業が輸出に意欲を示している。輸出拡大、開始を目指すターゲットとなる国・地域では、「中国」(68.9%)が2位の「米国」(31.1%)を大きく引き離してトップ。業種別では、「医薬品・化粧品」(88.6%)や「精密機械」(77.6%)、「飲食料品」(76.2%)などで輸出志向が高い。

 今後(3年程度)の海外での事業展開方針(新規投資、既存拠点の拡充)について「事業規模の拡大を図る」と回答した企業は73.2%と、前回調査(69.0%)から4.2ポイント増加した。企業規模別では、大企業が前回の73.2%から76.8%へ、中小企業は66.0%から71.4%となり、中小企業でも7割超の企業が海外事業に積極的な姿勢を見せている。一方、国内で「事業規模の拡大を図る」との回答も前回の40.7%から46.2%に増加した。

 企業の採算円レート(回答企業の中央値)は、85.0円/ドル、115.0円/ユーロだった。回答企業のなかでも中小企業の採算円レート(85.0円/ドル、115.0円/ユーロ)は、ドル、ユーロともに大企業(80.0円/ドル、110.0円/ユーロ)と比較して、円安に位置しているだけに、業績への悪影響が懸念されている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jetro.go.jp/news/releases/20120301775-news/outline.pdf

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