2012年02月29日-4
「第三者委員会」設置件数、過去5年間で127社

 昨今、コンプライアンスの重要性が高まるなか、オリンパスの粉飾や大王製紙の役員横領など不祥事や事故などで「第三者委員会」を設置する例が増えている。帝国データバンクは、2007年1月~2011年12月の5年間に、不祥事や事故などを理由に第三者委員会を設置した上場企業127社の事例132件を調査分析し、初の「第三者委員会設置状況の実態調査」として、このほど発表した。

 それによると、設置理由のトップは、社員が循環取引や売上計上の前倒しなどに関わった「架空取引」の26件、次いで、役員が粉飾決算に関わった「粉飾」の23件、以下、子会社の社員が架空取引に関わった「子会社架空取引」の15件、社員が資産の償却不足や資産水増しなどで利益を水増しした「利益水増し」の10件、子会社社員が利益水増しに関わった「子会社利益水増し」の8件、と続く。トップ5が決算に関わる事案だ。

 第三者委員会を設置した企業は、単独上場では「ジャスダック」の28社が最多、次いで「東証1部」が25社、「東証マザーズ」が14社となった。他市場との重複上場も含めると、「東証1部」が最大の49社となった。また、第三者委員会の設置件数が多かった年は2010年の37件、次いで2009年の29件で、漸増傾向にあったが、2011年は前年から14件減の23件となり、減少に転じた。

 第三者委員会の参加メンバーは、弁護士が264名以上、公認会計士が130名以上、弁護士兼公認会計士が3名以上、と弁護士の割合が高い。この結果について帝国データバンクは、設置理由のトップ5までが「決算に関わるもの」であることから、「本来なら、監査法人などの会計監査人が発見・是正・指摘すべき事項で、専門外の弁護士が多く関わっていること自体が異例と言うべき」と指摘している。

 なお、第三者委員会設置企業で、上場廃止は33社。うち11社が民事再生または破産により法的整理となっており、この11社中6社は設置理由が「粉飾」だった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p120205.pdf

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