2012年02月23日-4
2012年賃上げ実施予定企業が10%増の67.8%へ

 産労総合研究所は、「2012年春季労使交渉(春闘)にのぞむ経営側のスタンスと人事賃金管理の方向」に関する調査を行った(回答は174社)。世間相場の動向と自社の賃上げ予測等を明らかにするとともに、2011年からは、企業が直面する人事・賃金の課題 を通じて、これからの人事賃金管理の方向を探っている。今回も、先行きが見えない経営環境を反映し、経営者側の慎重な姿勢がうかがわれる結果となっている。

 自社の賃上げのスタンスで、「賃上げを実施する予定」とした企業は、前年の58.2%から67.8%へ、約10%ポイントもの大幅増加となった。さらに、「賃上げは実施せず、賃金を据え置く予定」の企業も、前年の7.3%からわずかに減少して5.7%となったが、他方、昨年は1社もなかった「賃下げや賃金カットを考えている」企業は、本年は1.1%(2社)となっており、 賃上げに関するスタンスも明暗を分ける結果になった。

 2012年の賃上げ相場の予測は、震災後の状況を反映してか一昨年の状態に戻ったような結果に。「前年と同程度」が47.7%(前回50.3%)と最も多いことに変わりはないが、「前年を下回る」が24.1%(同19.2%)で前年より増加し、「前年を上回る」と回答した企業は6.3%(同10.2%)に減少した。他方、先行きの不透明感が払拭されない中、「現時点 (2011年12月)では分からない」と判断を留保した企業が前回とほぼ同水準の21.8%だった。

 定期昇給制度の有無をみると、今回の回答企業においては「ある」が71.3%(前回調査75.1%)、「ない」が24.7%(同20.9%)で、「ない」企業が若干増加している。規模別に「定昇制度がある」企業をみると、1000人以上の大企業が67.4%(同73.3%)、300~999人の中堅企業が79.6%(同74.5%)。299人以下の中小企業が67.5%(同76.6%)となり、 本年は中堅企業以外で減少する結果となっている。

 その適用対象は、「全社員に適用」が44.4% (前回調査38.3%)、「一般社員のみに適用」が30.6%(同30.1%)、「特定層のみに適用」が1.6%(同6.8%)。定期昇給制度のある企業が2012年の賃金改定にどのようなスタンスでのぞむのかをみると、「定昇のみ実施する 予定」とした企業が例年同様最も多く66.1%(同66.2%)、次いで「現時点ではわからない」 が29.0%(同29.3%)、「定昇もベアも実施する予定」が4.0%(5社)だった。

 同調査結果は↓
 http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1202/

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