2012年02月23日-3
ユーロ圏における若年労働者の動向を紹介~内閣府

 内閣府は20日、「今週の指標」の中で、ユーロ圏における若年労働者の動向を紹介している。2008年の世界金融危機の発生以降から失業率が上昇し、2011年は10%台となるなど、厳しい雇用情勢が続いている。中でも、15~24歳の若年労働者の失業率は20%台に達し、世界金融危機の発生以降における失業率の上昇幅をみても、若年労働者では4.8%ポイントの上昇と、ユーロ圏全体の上昇幅(2.5%ポイント)よりも大きくなっている。

 国別にみると、スペインやギリシャでは、若年失業率が40%以上と非常に高い水準となっている一方で、ドイツやオランダ等では10%以下となっており、国ごとにバラツキがみられる。また、イタリア、ルクセンブルク、キプロス等における若年失業率は、25歳以上の労働者における失業率と比べて3倍以上に達しており、年齢グループ間でバラツキが大きくなっている。

 ユーロ圏における若年労働者の就業者数は、前年比でマイナスが続いているが、このところマイナス幅は縮小している。勤務形態別にみると、フルタイムでは前年比でマイナスが続いているが、パートタイムは2011年からプラスに転じているため、パートタイムで働く若年労働者が就業者数のマイナス幅の改善に寄与している。ただ、非自発的にパートタイム形態で働いている若年労働者の割合が増加していることには、留意が必要だ。

 次に、労働力人口に占める若年の長期失業者(ここでは1年以上の失業者)の割合をみると、25歳以上の長期失業者と同じようなトレンドで上昇しているが、25歳以上の長期失業者より高い水準で推移している。若年労働者が失業状態となり、十分な技能を形成することができなかった場合、その後に再就職する機会を得ることが困難となっている可能性が考えられる。

 ユーロ参加国は、1月30日のEU首脳会議でも、金融安定の確保に必要な妥協なき財政再建を図りつつ成長促進と雇用創出を実現するために、特に若者向けの雇用創出が盛り込まれた。十分な技能を形成することができない若年失業者が増加することは、ユーロ経済の中長期的な経済成長に対する下方リスクとなる可能性があるため、引き続き若年失業者の動向には留意する必要があると考えられる、と指摘している。

 同報告の概要は↓
 http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2012/0220/1023.html

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