2012年02月20日-3
日中貿易、6年ぶりに輸入の伸びが輸出上回る

 2012年1月に発表された財務省貿易統計(円ベース、輸出は確報値、輸入は速報値)をジェトロがドル建て換算したところ、2011年の日中貿易は総額3449億1623万ドル(前年比14.3%増)と、過去最高を記録した。輸出入別では、輸出が1614億9422万ドル(同8.3%増)、輸入が1834億2202万ドル(同20.0%増)。東日本大震災などの影響で輸出の伸びが鈍化し、2005年以来6年ぶりに輸入の伸びが輸出を上回った。

 日中貿易は、日本側の需要拡大を受けた輸入の増加により2年連続で増大したが、2011年11月以降は、単月の貿易総額の伸び率はひとケタ台に低下。輸出は、中国国内需要の増大に加え、中国から日米欧向け輸出の増加もあり、中国での完成品生産に必要な設備機械・原材料が増加したが、震災の影響に加え、円高の進展、中国経済の減速、さらには欧州の債務危機の影響もあり、輸出は10月以降3ヵ月連続で前年同月比減少している。

 輸入は、スマートフォンの需要拡大に伴い通信機が増加したほか、衣類・同付属品、食料品の輸入も伸長。加えて、震災後の復興需要の高まりや電力不足・節電への対応や防災用品への需要拡大により、扇風機、発電機、電池などが急増。一方、日中貿易の伸び率が日本の対世界貿易の伸び率を下回ったことで、日本の貿易総額に占める中国のシェアは20.6%と前年比0.1ポイント低下。中国の貿易シェア低下は、1990年以来21年ぶり。

 2012年の展望を見ると、中国政府による金融引き締め策の影響、震災後の影響を踏まえた企業のサプライチェーンの調整や円高対応の進展、欧州の債務危機の影響もあり、日本の対中輸出は、増加した場合でも小幅な伸びにとどまるか、あるいは減少が見込まれる。輸入は、現地生産の一層の進展や、スマートフォンなどの輸入拡大などにより、引き続きふたケタの伸びを続けるとみられる。

 これらを勘案すると、2012年通年の貿易総額は、輸入の伸びに支えられ、過去最高を記録した2011年を上回り、3500億ドルを突破する可能性が高い。また、日中貿易は2006年以来輸出の伸びが輸入の伸びを上回る状況が続いてきたが、2012年は2011年に続き輸出の大幅な伸びが期待できる環境にないことから、2012年の対中貿易収支の赤字幅は2年連続で前年比拡大するとみられている。

 同調査結果は
 http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000823/cn_jp_trade.pdf

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