2012年02月08日-2
震災の影響のなか、企業の37.5%が賃金改善見込む

 帝国データバンクが実施した「2012年度の賃金動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万665社)によると、2012年度に正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある(見込み含む)」と回答した企業は37.5%となり、前年調査の2011年度見込み(37.5%)と同水準となった。一方、「ない(見込み含む)」は35.1%となり、改善する企業が改善しない企業を2年連続で上回ると見込まれている。

 業界別では、「農・林・水産」(48.8%)や「卸売」(41.4%)が4割を超えた。また、2011年度実績では、賃金改善が「あった」企業は50.5%と2010年度実績(47.2%)から3.3ポイント上昇し、2008年度実績(55.1%)以来3年ぶりに過半数に達した。東日本大震災など日本経済に未曾有の事態が生じたなかで、2011年度の賃金動向は改善傾向を示しており、2012年度についても大きく崩れる様子はみられない。

 2012年度の正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が30.8%(前回調査31.2%)、「賞与(一時金)」が20.5%(同21.0%)と、ベア、賞与(一金)とも前年度見込みをやや下回る見通しだ。賃金改善を実施する理由(複数回答)は、「労働力の定着・確保」が58.3%で最多、次いで「自社の業績拡大」(49.9%)が多く、以下、「同業他社の賃金動向」(13.6%)、「物価動向」(7.3%)などが続く。

 一方、賃金改善を実施しない理由(複数回答)については、「自社の業績低迷」が70.2%で最多、4年連続で7割を超えたものの、前回調査から3.6ポイント低下した。次いで「同業他社の賃金動向」が21.3%となり、約2割の企業が様子見の状態にある。さらに、「物価動向」が17.6%、また、「人的投資の増強」(12.6%)と「設備投資の増強」(5.9%)が4年ぶりの水準に高まるなど、賃金水準を抑制して他の目的に振り分ける傾向が増した。

 非正社員の2012年度の賃金動向については、賃金改善が「ある(見込み含む)」と回答した企業は16.3%。一方、「ない(見込み含む)」と回答した企業は50.1%と4年連続で5割を上回った。非正社員の賃金改善を実施する企業は徐々に増加しているが、前年と同様に厳しい賃金状況が続いている様子が浮き彫りとなった。こうしたことから、非正社員の賃金は正社員との格差拡大が一段と進むことが懸念されている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1201.pdf

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