2012年02月06日-2
「農地確保・土壌改良」が企業の農業参入のネック

 日本政策金融公庫が実施した「企業の農業参入に関する調査」結果(有効回答数138社)によると、参入までの準備期間は平均して約1年8ヵ月かかり、「農地確保・土壌改良」に時間を要するなど、課題を残していることが分かった。なかでも、企業が参入する際、確保できる農地は耕作放棄地や条件の悪い農地であるケースが多く、当初想定していなかった土壌改良などに時間と費用を費やしたとの声が多くあった。

  準備期間は平均約1年8ヵ月で、その期間の取組み内容は、44.2%が「農地確保・土壌改良」と、「生産技術の習得」の22.1%を大きく上回った。聞き取り調査では、「農地の確保に想定以上に時間を要した」、「農地を確保したものの、作付けまでに土壌改良の必要があることが判明し、作付けまでに想定外の時間と費用を要した」という声が多く聞かれ、「農地確保・土壌改良」は参入時における課題の盲点であることが明らかになった。

「食品製造業」、「食品卸売業」では、原材料生産のため、参入目的として50%以上が「原料の安定的な確保」、「本業商品の付加価値化・差別化」を挙げている。また、達成状況をみると、なかでも「トレーサビリティの確保」については、これを目的とする「食品製造業」の約90%が達成したと回答しており、高まる消費者の「安全・安心」のニーズに農業参入によって応えられる体制を構築できたことがうかがえる。

 一方、「建設業」では建設業界の厳しい経営環境を反映し、参入目的として80%が「経営の多角化」、72%が「雇用対策」を挙げ、その達成状況をみると、「雇用対策」を目的とする先のうち67%が達成したと回答しているものの、「利益の確保」を目的としている先においては、この目的を達成している先はなく、農業で利益を確保する難しさが浮き彫りになっている。

 参入時の課題として50%以上が挙げているのは「農業技術の習得」、「販路の開拓」、「農地の確保」、「資金繰り」だが、これらの課題は参入後、10ポイント以上減少し、一定の解決が図られている。一方で、「生産経費」、「商品開発」を課題として挙げている割合は、参入前後を問わず、それぞれ48%、40%とほとんど変化がなく、コストの削減や売上を伸ばすために、常に解決策を見出さなければいけない課題であることが浮き彫りになった。

 同調査結果は↓
 http://www.jfc.go.jp/a/topics/pdf/topics_120126_2.pdf

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