2012年02月02日-3
2012年賃上げ見通しは労使とも約1.7%と予測

 労務行政研究所が毎年発表している「賃上げに関するアンケート調査」によると、2012年の賃上げ見通しは、全回答者平均で5154円・1.66%(定昇分含む)となった。厚生労働省の主要企業ベースにおける11年の賃上げ実績(5555円・1.83%)を額で401円、率で0.17ポイント下回る予測となった。同調査は、1月13日までに回答があった労働者側194人、経営側148人、労働経済分野の専門家163人の計505人の回答を集計したもの。

 ちなみに、各種調査によると、大手企業の“定期昇給率”は平均でおおむね1.6~1.8%程度とみられ、今回の調査では定昇率を「1.8%」と提示している。もちろん定期昇給制度を持たない企業もあるため一様にはいえないが、平均値でみると「定昇をも下回る賃上げ」という予測結果だ。労使別にみると、労働側5321円・1.71%、経営側5233円・1.69%で、賃上げ率の見通しは労使とも約1.7%で、ほぼ一致している。

 成果主義の広がりのなか、90年代以降、定昇制度の見直しを行った企業も少なくないが、なお何らかの定昇部分を設けている企業にとっては、制度を維持するうえで定昇原資分の確保が賃上げの下限ラインと考えられる。労使について分布をみると、「1.8~1.9%」の“定昇”ラインが半数程度を占め、それをやや下回る「1.6~1.7%」がこれに続く。厳しい経済・経営環境下にあるものの、“定昇”はほぼ確保されるという見方が主流といえる。

 2012年における定昇については、労働側の89.7%、経営側の86.5%と、いずれもほとんどが「実施すべき」あるいは「実施予定」と回答。経営側の「実施しない(凍結する)予定」との企業は0.7%(1人)にとどまる。一方、ベアについては、経営側では「実施しない予定」が72.3%と大半を占め、労働側についても、「実施すべきではない(実施は難しい)」が56.7%と過半にのぼり、労使とも共通してベア実施は難しいとの見通しを抱いている。

 夏季賞与の見通しについては、前年夏季と比べて「同程度」が労働側53.1%、経営側56.1%と半数以上を占めた。経営側では、「増加する」が12.2%、「減少する」が26.4%。経営側においては、企業業績による成果は固定費のアップにつながる賃金ではなく、変動費である賞与に反映すべき、と考える向きも多い。大震災や円高、欧州債務危機への不安などから景気の回復は極めて緩やかなことから、「同程度」が半数以上を占めたものといえる。

 同アンケート調査結果の詳細は↓
 http://www.rosei.or.jp/research/pdf/000051778.pdf

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