2012年01月23日-4
12年は新製商品・サービス開発・海外事業展開に注力

 日本公庫総合研究所が2011年11月に実施した「2012年の中小企業景況見通し調査」によると、2012年の業況判断DI(業況が前年に比べ「改善」を見込む企業割合-「悪化」を見込む企業割合)は3.7と、2011年実績見込みの8.3から4.6ポイント低下している。これは、「改善」を見込む企業割合が低下しているほか、「横ばい」を見込む企業割合が上昇し、中小企業の業況感は力強さに欠ける見通しとなっている。

 需要分野別にみると、設備投資関連や乗用車関連、家電関連といった外需関連分野の企業では、いずれも2012年の業況判断DIが低下する見通し。回答内容別の構成比をみても、「改善」を見込む企業割合が大幅に低下しているほか、「悪化」を見込む企業割合が上昇。その要因としては、取引先の海外生産進展や海外経済の減速などを背景として先行きに対する不透明感が強まっていることが考えられるという。

 一方、建設関連や食生活関連、衣生活関連といった内需関連分野では、いずれも2012年の業況判断DIが上昇する見通し。建設関連については、震災からの復旧・復興需要の増加が、食生活関連や衣生活関連では震災後の消費自粛ムードで業況が大きく落ち込んだことの反動増が要因として考えられる。実際、食生活関連、衣生活関連の回答別の構成比をみると、「悪化」を見込む企業割合は大幅に低下している。

 2012年に向けての不安要素(3つまで回答)としては、「国内の消費低迷、販売不振」が77.4%と前年調査に続き最も高い割合を占め、次いで「原材料価格、燃料コストの高騰」(39.5%)が続く。今回の特徴は、円高や欧州の財政危機などの影響を懸念して「取引先の海外生産進展」、「海外経済の減速による輸出減少」の割合が前年調査から上昇していることだ。特に、乗用車関連については約半数の企業が不安要素に挙げている。

 こうした不安要素を踏まえたうえで、経営基盤の強化に向けて注力する分野を尋ねたところ、「営業・販売力の強化」が74.4%と前年調査同様、最も高い割合を占めている。今回の調査で上昇幅が大きかった項目は、「新製商品・サービスの開発」、「海外事業展開」、「人材の確保・育成」。特に「新製商品・サービスの開発」については外需関連分野のみならず、衣生活関連、食生活関連といった内需関連分野でも上昇している。

 同調査結果は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_no41_1112.pdf

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