2012年01月18日-2
2011年の円高関連倒産、集計開始後最多の85件

 帝国データバンクがこのほど発表した「円高倒産の動向調査」結果によると、2011年の円高関連倒産は85件判明し、集計開始の2008年以降で最多だった2010年(58件)を46.6%上回り、年間最多件数を大きく更新した。対ドル、対ユーロともに高値水準が続くなか、長引く景気停滞で体力的に限界に達しつつある中小零細企業を中心に、円高倒産は引き続き高水準で推移する可能性が高いとの見通しだ。

 倒産原因別にみると、大企業の海外シフトの動きを受け、「受注減少」から行き詰まるケースが34件(40.0%)を数え、前年比88.9%の大幅増加となった。8月以降はこうした「受注減少」や、「輸出不振」(12件)から倒産するケースが増加しており、歴史的な円高は中小企業を中心に本業面に広く影響を及ぼしている。他方、「デリバティブ損失」による倒産も32件(37.6%)にのぼった。

 業種別では、「卸売業」が39件(45.9%)でトップ、「製造業」の33件(37.6%)と合わせて、この2業種で円高倒産全体の84.7%を占めた。主な円高関連倒産は、ケミカル船運航の「ドーヴァル海運」(12月倒産、負債149億1300万円、東京都)、婦人服卸、ライセンス管理の「アイ・ピー・ジー・アイ」(7月倒産、負債75億9700万円、東京都)、建設機械製造の「長野工業」(5月倒産、負債58億1900万円、長野県)など。

 2011年の円高関連倒産は最多となったが、特に8月(8件)以降の増加が著しく、歴史的な水準が続く円相場の動きに合わせて、関連倒産の件数も増えたかに見える。しかし、2011年に円高によって倒産に追い込まれたケースの大部分は、過去の円高局面ですでに疲弊していた企業ばかり。景気の遅行指数である企業倒産の特徴からすれば、昨年夏からの円高の影響が本格化するのは、むしろこれからとみられている。

 同動向調査結果は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p120102.pdf

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