2012年01月16日-3
リスケ受けた企業の3割強が経営改善計画「下回る」

 帝国データバンクが実施した「金融円滑化法に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万578社)によると、金融円滑化法による借入れの条件変更などを「利用した(利用している)」と回答した企業は全体の6.2%、655社だった。利用回数は、「1回」が44.6%、「2回」が30.2%で、2回以上利用した企業は計50.7%となり、半数超の企業が複数回の借入れ条件変更などを行っていた。

 条件変更の見直し内容(複数回答)は、「毎回の返済額の減額」が35.0%で最多だが、「返済繰延べ(6ヵ月~1年未満)」(24.1%)や「同(1年~3年未満)」が続くなど、6ヵ月未満から5年以上までいずれかの返済繰延べを1度でも実施した企業は67.2%となった。業界別にみると、「毎回の返済額の減額」では、「不動産」(47.1%)や「小売」(43.2%)、「運輸」(42.9%)などが高く、「返済繰延べ」は「建設」(73.6%)が7割を超えた。

 金融円滑化法の利用企業655社の経営改善計画に対する現在の状況は、「ほぼ計画通り」が41.7%で最多となり、4割超の企業が計画通りの経営改善が進んでいる。一方、「改善計画を下回っている」と回答した企業は33.9%、「大幅に下回っている」は4.0%となり、3社に1社が経営改善計画を下回る状況になっている。また、改善計画を「上回っている」企業は14.4%と1割台にとどまっている。

 最近の金融機関の返済猶予に対する姿勢(再リスケ及び現リスケに対するモニタリングの強化)についての認識は、「変わらない」が45.5%で最多となった一方、「厳しくなっている」とする企業は35.0%に達し、3社に1社は金融機関の姿勢が厳しくなっていると認識している。金融円滑化法の再延長が予定されるなか、企業と金融機関の双方における認識のずれが生じてくると、リスケの実施において懸念材料となる可能性がある。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1112.pdf

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