2012年01月10日-1
厳しい輸出環境下でも積極的姿勢崩さず挑む日本企業

 ジェトロが実施した「2011年度農林水産物・食品輸出に関するアンケート調査」結果(有効回答数117社)によると、厳しい輸出環境下でも輸出への積極的な姿勢を崩さず挑む日本企業の姿が浮き彫りとなった。まず、輸出に当たっての課題・問題点では、中国が「代金回収」(78.6%)、「輸出手続き」(71.8%)、「クレーム対応」(65.0%)など、輸出にかかわる手続きの多くで困難を感じる企業の割合が、他国・地域と比べ高いことが分かった。

 輸出における最大の競合先については、「中国」と回答した企業の割合が35.9%と最も高く、次いで「韓国」(13.7%)が続いた。競合先の競争力の内容(複数回答)は、「価格」が78.6%の回答を集め、「マーケティング」(18.8%)、「積極的な販売活動」(16.2%)などが続く。対抗手段(複数回答)としては、「製品の高付加価値化」が66.7%と最も高く、次いで「マーケティング・営業の強化」が33.3%となっている。

 最近の円高による影響では、「マイナスの影響があった」企業の割合は81.2%。影響を受けた具体的な内容(複数回答)は、「輸出業者、輸入業者からの注文が減った」が49.5%で最多、次いで「輸出業者、輸入業者から値下げを要求された」(43.6%)。平均輸出採算レートは1ドル89円と、現在の為替相場と大幅にかい離している。円高に関する対策(複数回答)としては、「経営努力等によるコスト削減の努力」が29.1%で最多だった。

 また、東日本大震災による影響では、88.0%の企業が「輸出にマイナスの影響があった」と回答。マイナスの影響を受けた主要因(複数回答)については、「輸出先市場における、日本食に対するイメージの悪化」が69.5%で最多、次いで「輸出先の輸入規制による、証明書類の準備並びに通関手続きの煩雑化」(62.9%)、「輸出先の輸入規制による輸出停止」(61.0%)などが上位に挙げられた。

 今後(3年程度)の海外でのビジネス展開に関する見通しは、「既存ビジネスの拡充、新規ビジネスを検討している」企業の割合が77.8%と最も多い。事業拡大の具体的な内容(複数回答)は、「自社で海外のバイヤーと商談して輸出を増やす」が86.9%と最多、次いで「日本国内の輸出商社と商談して輸出を増やす」が50.5%で続いた。今後、輸出を増やす国・地域(同)は、「中国」(60.4%)、「香港」(57.4%)、「シンガポール」(53.5%)の順。

 同アンケート調査結果の概要は↓
 http://www.jetro.go.jp/news/releases/20111222383-news/result.pdf

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