2012年01月05日-3
中小企業の業況感、厳しい状況続くもマイナス幅縮小

 金融庁は12月27日、今年3月末で適用期限をむかれる中小企業金融円滑化法について、円高や欧州債務危機など中小企業と取り巻く経済環境が依然厳しいと判断し、同法の期限を2013年3月末まで1年間延長する方針を固めた。この背景には、東日本大震災や円高の影響で、中小零細企業の資金繰りがなお厳しいとの考えがある。今年の通常国会に同法の改正案を提出する。

 円滑化法は、昨年3月末に、その期限を1年間延長し、2012年3月末までとする改正円滑化法が国会で成立し、公布・施行された。また、円滑化法の期限延長と併せ、運用面の改善として、(1)金融機関によるコンサルティング機能の発揮を促すための、円滑化法に基づく金融監督に関する指針の策定、(2)円滑化法にかかる内閣府令の改正による開示・報告資料の大幅な簡素化を通じた金融機関の負担軽減、といった措置を講じた。

 その後、金融庁では、円滑化法の施行状況やその効果・影響などを注視してきたが、金融機関の円滑化法への対応状況をみると、円滑化法施行以降の約2年間にわたる取組みにより、貸付条件の変更等の実行率が9割を超える水準となっているほか、金融機関の間の連携がよく行われるようになっているという声が聞こえるなど、基本的には、その取組みは定着してきているとみている。

 一方で、貸付条件の再変更等が増加している、貸付条件の変更等を受けながらも経営改善計画が策定されない中小企業が存在するなどの問題を指摘する声もある。このような点を勘案し、金融規律の健全性の確保・モラルハザード防止のための施策を講じる一方、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を促すとともに、中小企業者等の真の意味での経営改善につながる支援を強力に推し進めていく必要があるとみている。

 このため、外部機関や関係者の協力も得つつ、検査・監督上の対応も含め、総合的な出口戦略を講じることにより、中小企業者等の事業再生等の向けた支援に軸足を移していく必要があるが、一方で、そうした移行は円滑に進めていく(「ソフトランディング」)必要があるため、現行の円滑化法を今回に限り25年3月末まで再延長することが適当と判断したとしている。

 この件については↓
 http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20111227-1.html

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